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前年
「前年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「捨児」より 著者:芥川竜之介
が、捨児をしたと云う事は、嘘だった事が後に知れました。ちょうど母が歿《な》くなる
前年、店の商用を抱えた私は、――御承知の通り私の店は綿糸の方をやっていますから、....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
はとかく一種の方面に過敏に働く。厄介に思われてるんじゃないかしら、何だか去年や其
前年来た時のようではない。どうしたって来たから仕方なしという待遇としか思われない....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
の朝から雀がバッタリ。意気地なし。また丁どその卯の花の枝の下に御飯が乗っている。
前年の月見草で心得て、この時は澄ましていた。やがて一羽ずつ密と来た。忽ち卯の花に....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
。 蕈は軸を上にして、うつむけに、ちょぼちょぼと並べてあった。 実は――
前年一度この温泉に宿った時、やっぱり朝のうち、……その時は町の方を歩行いて、通り....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
したから。 彼が刑期を終えて出て来たのは、その次ぎの年の一月でした。私共はその
前年Oが保釈で出ている間にはじめて第一次の「労働運動」を出していました。Oは十二....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
き子や安子がいそいそと歩いていく後から重い足どりでずっと後れて歩いていった。この
前年の夏休みに叔母とまき子と三人でここに降りた時には登志子は何とはなしになつかし....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
に先生は教うるにいかなる事をもってしたのであるか、まさかに悪智慧を着けはしまい。
前年その長屋の表町に道普請があって、向側へ砂利を装上げたから、この町を通る腕車荷....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
時に、風向きが急に変ったのだと申すことでございます。右の御神剣と申すのは、あれは
前年わざわざ伊勢へ参られた時に、姨君から授けられた世にも尊い御神宝で、命はいつも....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
略して、さてその年の秋私は伊藤に手紙を出して就職の世話をたのんだ。伊藤とは震災の
前年から音信を断つていたので住所もわからない始末である。「京都下加茂日活内」とし....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
たが、見合わすこととなり、一八一五年二月末、ネープルに赴いてベスビアス山に登り、
前年の時よりも噴火の一層活動せるを見て大いに喜んだ。 このとき何故か、急に帰途....
「瘤」より 著者:犬田卯
家屋税付加などにいたってはそんなからくりも出来ない。農会費、水利組合費、これまた
前年度の倍もかかるようになってしまう。少々は喰われたって……と温良ぶった村民も、....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
絵ごとそっくり田舎の北国新聞に出ている。即ち僕が「冠弥左衛門」を書いたのは、この
前年(二十六年)であるから、ちょうど一年振りで、二度の勤めをしている訳である。 ....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
たのである。 私は、いささか恥しかった。というより、自分自身が腹立たしかった。
前年、友人二人と約十日にわたる大登山をやり、大町に帰るなりまた慎太郎さんと林蔵と....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
人の聖蹟で整頓した頭を以て、とにかく概略の講義案を作成した。もちろん、根本理論は
前年度のものと変化はないのである。当時、陸軍大学幹事坂部少将から熱心な印刷の要望....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
へ塗っていた。)最後に僕の通っていた江東小学校の校長さんは両眼とも明を失った上、
前年にはたった一人の息子を失い、震災の年には御夫婦とも焼け死んでしまったとかいう....