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前後も知らず
「前後も知らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前後も知らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
。行長は翠金《すいきん》の帳《ちょう》の外に秘蔵の宝剣《ほうけん》をかけたなり、
前後も知らずに眠っていた。もっともこれは必ずしも行長の油断したせいばかりではない....
「或る女」より 著者:有島武郎
し、寝床をしかせ、最上等の三鞭酒《シャンペン》を取りよせて、したたかそれを飲むと
前後も知らず眠ってしまった。
夜になったら泊まり客があるかもしれないと女中のい....
「或る女」より 著者:有島武郎
のはずのある夜、葉子はふらふらとふだん空想していたその心持ちにきびしく捕えられて
前後も知らず家を飛び出した事があった。葉子の心は緊張しきって天気なのやら曇ってい....
「星座」より 著者:有島武郎
らぬ玩具《がんぐ》じみたものを払いのけて、原稿用紙に向った。純次はそのすぐそばで
前後も知らず寝入っていた。丹前を着て、その上に毛布を被ってもなお滲み透ってくるよ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
変なことをいいだしました。 「あんまり腹がたちましたゆえ、ついカッとなりまして、
前後も知らずにだいそれたまねをいたしましたが、もうお手向かいはいたしませぬゆえ、....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
の家の主人ではなく、只主人と懇意な間柄と云う許りで、御存知の通り主人は大怪我の為
前後も知らず寝て居ますから、後で正気に返った時、若し私に向い、何故に他人の家へ忍....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
餅のような薄っぺらな損料蒲団を掛けて遣る中に、又作はぐう/\と巨蟒のような高鼾で
前後も知らず、寝ついた様子に、春見は四辺を見廻すと、先程又作が梁へ吊した、細引の....
「家」より 著者:島崎藤村
に集った。 お雪が鳴らしていた鋏を休めた頃は、十二時近かった。お福や書生は最早
前後も知らずに熟睡している頃であった。 「何ですか」 とお雪は不思議そうに夫の....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
て殿様のお身体に附きまとい、凶事のない様に守りまするが、全体貴方は御酒を召上れば
前後も知らずお寝みになる、又召上がらねば少しもお寝みになる事が出来ません、御酒も....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ないでも済み、竜之助も血に渇《かわ》いて、夜中に忍び出でた形跡もなく、久助は無論
前後も知らず、隣室の、かのおだやかならぬ四人連れのものどもも、無事に眠りについて....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
庵は、お通夜と朝参りの群衆の中へ坐り込んで、人の温気《うんき》でいい心持になり、
前後も知らず居眠りの熟睡をはじめる。 これによって見ると、道庵は善光寺へ参拝に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 ほどなく、神尾主膳の屋敷の中へ再び姿を現わした七兵衛。 その時分、主膳は
前後も知らず眠っておりました。 その一間へ悠々とお賽銭箱を卸《おろ》した七兵衛....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
な甥なぞの側に眼をさました。慣れない床、慣れない枕、慣れない蚊帳の内で、そんなに
前後も知らずに深く眠られたというだけでも、おげんに取ってはめずらしかった。気の置....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
った。 九時になった、ドノバンとイルコックが見張り番をすることになって、一同は
前後も知らずにねむった。 翌日から一同はいかだの貨物運搬をつづけた。それからい....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
は彼に「袂に石をつめよ」と暗示した。彼は屍の言うがままに袂に石を詰めた。そして、
前後も知らずに死体と一緒に水の中に飛び込んだ。 彼が水底に落ち付いたと思うた時....