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「前払い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前払いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
司につかう折箱の職人で、二階の六畳はもっぱら折箱の置場にしてあったのを、月七円の前払いで借りたのだ。たちまち、暮《くら》しに困った。 柳吉に働きがないから、自....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
それに訊いてくれ、当屋敷で直接の対談は断わると云い、いずれも申し合わせたように門前払いである。それでは取り付く島がない。自分の方から頼んで置きながら何のことだと....
温情の裕かな夏目さん」より 著者:内田魯庵
人は全く打ち解けて話し込んだ。私は大変長座をした。夏目さんは人によってあるいは門前払いをしたり仏頂顔したりするというが、それも本当だろう。しかし私は初めてからそ....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
を取られゝば私がしくじるだ」 甲「手前が不調法をしてしくじるのは当然だ、手前が門前払いになったて己の知った事かえ、さ此方へ出さんか」 喜「あ……あれ……取っちま....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
の論文によって促されるのだが、ただの医学士が博士になることによって不幸な大衆は門前払いを食わなければならないだろう。医学発達を遍く無産者大衆に均霑するためには、....
社会時評」より 著者:戸坂潤
徹底すれば、入学金の納入高の多い者から採るのが合理的で、そして入学金を試験以前に前払いするという形式を取れば、所謂不正入学ということになるのであるが、莫大な入学....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
その時店の奥から男の声が響いた。 「七フランより少なくてはいかん。そして六カ月分前払いでなければ。」 「六七、四十二。」とテナルディエの上さんは言った。 「それ....
現代の詐術」より 著者:坂口安吾
く心得ている。 昔からありふれたのに手金サギというのがあったが、近ごろのは全額前払い、そう変ったゞけなのだろう。 昔は物が有り余っていたから、商人は売りこむ....
町内の二天才」より 著者:坂口安吾
いる賭場のような会所があって、そのガキはそこに入りびたっていたが、今ではそこも門前払いを食わされるようになってしまったというのである。というのは、だんだんカモが....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
らは親分が見廻りにくるたび御休憩の家となり、親分御食事中はほかのお客はお断り。門前払いだ。 やがて親分が酔っ払う。親分と内儀だけ奥に残して、乾分たちは退散し、....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
「じゃア、失敬。今日は退散するが、又、会うぜ。往生際がわるいんだから。京都で、門前払いは罪でしょう。ねえ、長平さん」 長平は答えなかった。青木が靴をはき終るこ....
裏切り」より 著者:坂口安吾
しょう」 そこで二人はタクシーをよびとめて、二百四十円がとこやってくんなと料金前払いで乗りこみましたが、この車がバカにメートルの早くまわる車で、 「ヘエ、二百....
株式仲買店々員」より 著者:ドイルアーサー・コナン
は私の兄弟のためにあなたのような有為な人を得られて喜んでいます。――これは俸給の前払いの百|磅です。それからこれは手紙です。向うの所番地をお書とめになって下さい....
二十一」より 著者:坂口安吾
うのである。兄弟にききただしても嘘をつくにきまっているし、婆さんは占師の本宅は門前払いで、若しも強いて訪ねてくれば、それを限りに絶縁するということを堅く言い渡さ....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
ないという風があった。が、官僚|気質の極めて偏屈な人で、容易に人を近づけないで門前払いを喰わすを何とも思わないように噂する人があるが、それは鴎外の一面しか知らな....