前景[語句情報] » 前景

「前景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前景の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
沼地」より 著者:芥川竜之介
しかしその画の中に恐しい力が潜んでいる事は、見ているに従って分って来た。殊に前景の土のごときは、そこを踏む時の足の心もちまでもまざまざと感じさせるほど、それ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
《すてばち》な気分になって、馬の売買にでも多少の儲《もうけ》を見ようとしたから、前景気は思いの外《ほか》強かった。当日には近村からさえ見物が来たほど賑《にぎ》わ....
闇の絵巻」より 著者:梶井基次郎
た杉林がパノラマのように廻《めぐ》って私の行手を深い闇で包んでしまっている。その前景のなかへ、右手からも杉山が傾きかかる。この山に沿って街道がゆく。行手は如何《....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
あったが、五月の陽気な川開きとは違って、秋の花火はおのずと暗い心持ちが含まれて、前景気がいつも引き立たなかった。江戸名物の一つに数えられる大川筋の賑わいも、こと....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
るのは今度が初めである上に、震災以後東京で興行するのもこれが初めであるから、その前景気は甚だ盛んで、麻布十番の繁昌にまた一層の光彩を添えた観がある。どの人も浮か....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
で当選した。反対諸党は合同して一人の候補者を出す筈であったのだが、この謀叛人側の前景気がばかにいいのに恐れをなしてまったくひっこんでしまったので、本当の一人天下....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
「門ヲ入レバ内庭ニシテ、四辺闃寂人影無シ、中央ニ大池アリ。奇巌怪石岸ニ聳チ、一切前景ヲ遮ルアリ、両人即チ池ヲ巡リ、更ニ森林ノ奥ニ迷フ。忽然茂ヨリ走リ出デ九郎右衛....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ろに波頭がたつ。その海が前方に迫るに従って海中の岩礁に砕けてしぶきをあげる。更に前景には大きな岩礁が横たわり突き出ている。その間を潮流が湍津瀬をなして沸きあがり....
山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
仰いだ風猛山一帯の峰の松原が思い出されて、何かせつない気がした。滝や、紅葉のある前景は、此とて、何処にもあるというより、大和絵の常の型に過ぎぬが、山の林泉の姿が....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
ような白堊の軍艦が浮んで見える。軍艦と見えたのは実は軍艦風に建てられた家屋だ。以前景子は家主と連れ立って此処へ初めて来た時、此の軍艦形の建物を発見して子供のよう....
雪柳」より 著者:泉鏡花
りの吉原へ。引手茶屋で飲んだのが、明日は名におう堺町|葺屋町の顔見世、夜の中から前景気の賑いを茶屋で見ようと、雅名を青楼へ馳せず芝居に流した、どのみち、傘雨さん....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
堀越はやり損じなければ好いが。」と言っていた。実際、新富座の「め組の喧嘩」の方が前景気は遥かに好かった。歌舞伎座はどうしても川向うの新富座に圧倒されそうに見えた....
十番雑記」より 著者:岡本綺堂
るのは今度が始めである上に、震災以後東京で興行するのもこれが始めであるから、その前景気は甚だ盛で、麻布十番の繁昌にまた一層の光彩を添えた観がある。どの人も浮かれ....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
す。これは昨日見た悪沢岳だ。更に上り上って、終に一里あまりも来て、大きな山毛欅を前景に、三、四時間ばかり一生懸命に写生をした。 日は南へ廻って、雪の蔭は淡くコ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
城のように、その砦がまたお護申してくれれば好い。 (霧ひろごりて、遠景を罩め、前景をも便宜に掩ふ。) おや、おや、まあ。 皆さん。振り返って御覧なさい。 今....