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前栽
「前栽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前栽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
庵《そうあん》とも云いたい拵《こしら》えです。縁先に垂れた簾《すだれ》の外には、
前栽《せんざい》の竹《たか》むらがあるのですが、椿《つばき》の油を燃やした光も、....
「或る女」より 著者:有島武郎
な数寄《すき》が凝らしてあった)に行って、その雨戸を繰り明けて庭を見せた。そこの
前栽は割合に荒れずにいて、ながめが美しかったが、葉子は垣根《かきね》越しに苔香園....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
茄子畑というは、椎森の下から一重の藪《やぶ》を通り抜けて、家より西北に当る裏の
前栽畑《せんざいばたけ》。崖《がけ》の上になってるので、利根川は勿論中川までもか....
「刺繍」より 著者:島崎藤村
庭へ行って見た。食堂から奥の座敷へ通うところは廻廊風に出来ていて、その間に静かな
前栽《せんざい》がある。可成《かなり》広い、植木の多い庭が
前栽つづきに座敷の周囲....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
此間儲けもんでござえまして、蝦夷虫一疋取れば銭い六百ずつくれると云うから、大概の
前栽物を脊負い出すより其の方が楽だから、おまえさま捕つかめえて、毒なア虫でごぜえ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
店座敷の障子のそばに置いてある彼の桐の机もふるくなった。その部屋は表庭つづきの
前栽を前に、押入れ、床の間のついた六畳ほどの広さで、障子の外に見える古い松の枝が....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
なかった。 「何だね、それ。」 K氏は何とも答えなかった。二人は原っぱのような
前栽のなかに立っている一軒家に通された。日あたりのいい縁側に座蒲団を持ち出してそ....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
かなりの死者を出すのであった。 これではならぬと思い、私は考えた末、これを私の
前栽へ解放してやろうと思った。
前栽には大きな石が積み重ねてあり、その上には稲荷様....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
店の間に二つ、仲の間に大きいのが一つ、庭に二つ、薬屋だったからその製造場に一つ、
前栽に稲荷様が一つ、仏間に仏壇が一つ、合計すると相当の数に上った。 その神様の....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、茄子なり、そのかわり、実のない南瓜を刈取って雑草を抜けという。が、肥料なしに、
前栽もの、実入はない。二十六、七の若いものに、畠いじりは第一無理だし、南瓜の蔓は....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、植込のない押開いた突当が玄関、その左の方が西洋|造で、右の方が廻廊下で、そこが
前栽になっている。一体昔の大名の別邸を取払った幾分の造作が残ったのに、件の洋風の....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
の風に煽られて掛かる粉雪を、袖で打ち払い打ち払いじっと門内を隙かして見たが、松の
前栽に隠されて玄関さえも見えなかった。 「別にご来客もないかして供待ちらしい人影....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
から下は、山の端に隠れて、其から前の画面は、すっかり自然描写――というよりも、壺
前栽を描いたというような図どりである。一番心の打たれるのは、山の外輪に添うて立ち....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
っていた。椿岳の伝統を破った飄逸な画を鑑賞するものは先ずこの旧棲を訪うて、画房や
前栽に漾う一種異様な蕭散の気分に浸らなければその画を身読する事は出来ないが、今で....
「ヒルベルト訪問記」より 著者:高木貞治
昔ながらのささやかな――あれは「柴折戸」としておきたい.それから広くもないあの「
前栽」.それはしかしながら三十年間に木立が茂って,李だか梨だか,暗くて分らないが....