前肢[語句情報] » 前肢

「前肢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前肢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
交尾」より 著者:梶井基次郎
念なく組打ちをしている。 彼らは抱き合っている。柔らかく噛《か》み合っている。前肢でお互いに突張り合いをしている。見ているうちに私はだんだん彼らの所作に惹《ひ....
猫の踊」より 著者:田中貢太郎
な赤毛の猫が頬冠《ほおかむり》をして、二本の後肢で立ち、その足で調子をとりとり、前肢二本を手のように揮《ふ》って踊っていた。それはその邸に年久しく飼われている猫....
豚群」より 著者:黒島伝治
思って、宇一は餌もやらなければ、ろくに世話もしなかったのである。 豚は、必死に前肢を柵にかけ、健二をめがけて、とびつくようにがつ/\して何か食物を求めた。小屋....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のごとく見えたが、すぐ卓上の紙片に、上図を描いて説明を始めた。 「これが、|猫の前肢と云う、猶太人犯罪者特有の結び方なんだよ。そこで熊城君、この結び方一つに、廻....
虎媛」より 著者:田中貢太郎
元へ持って往って、甜らしたり、鬚をひっ張ってみたり、虎の体の下へもぐって往って、前肢の間から首を出してみたり、そうかと思うと、背の上に飛び乗って、首につけてある....
獏鸚」より 著者:海野十三
犀に似て、全身短毛をもって掩われ、尾は短く、鼻及び上唇は合して短き象鼻の如くサ。前肢に四|趾、後肢に三趾を有す。胴部より腰部にかけて灰白色の一大斑あり、その他は....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
ておおかみのごとき両耳をきっと立てた、かれの醜悪なる面はますます獰猛を加えてその前肢を低くしりを高く、背中にらんらんたる力こぶを隆起してじりじりとつめよる。 ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
狙っている。牛が静止してる時は決して突けないものだそうで、いま躍動に移ろうとして前肢に力の入った刹那、それがバンデリエイルの機会だ。牛のほうで自分の力で銛さきへ....
水鳥亭」より 著者:坂口安吾
いて瀕死の藁床から起き上ると、天へ跳び上るような恰好をした。つまり後肢で立って、前肢を人間の幽霊のように胸に曲げて、クビを蛇がのびるように天へねじあげたのである....
余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
像に難くない。首を反つくりかえらして口には雪のような泡を噛み、怒つた蟷螂のように前肢を挙げ、必死になつて轡にぶら下る雑兵四、五人を引きずるようにして出て来た。 ....
落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
、電光石火、横に虚空を切りはらう。山犬はハッと一かたまりにうずくまって目をとじ、前肢に目をかくして、虫のようにすくみ、死んだように動かなくなってしまった。 ホ....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
とある。体長は五百三十ミリ内外、尾の長さは百七十ミリ内外で、体は狐よりも小さく、前肢も後肢も短い。 毛は概ね暗灰色で、密生している。体のところどころに黒い毛が....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
いよいよ狆の製作が出来ました。 先のと、それから「種」のモデルの方が三つです。一つは起って前肢を挙げている(これは葉茶屋の方のです)。一つは寝転んでいる。一つは駆けて来て....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
肢にかけ、縦横に布や刺繍や金属で装ってあるらしい象の体は、丸く縛り竦められ、その前肢に背を凭せ、ダラリと下った鼻を腕で抱た一人の黒ン坊が眠って居るのもうすうす判....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
王者の勝利感と大威力とに哄笑し快笑し、三度また頭を高く、激しくうち振った。開いた前肢、嘲り嘲り、巨躯を掻き、また搏きうつ後肢の鰭。 砂上だ。 背景は燦々たる....