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前菜
「前菜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前菜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
いた。畦の玉蜀黍の一列で小さく仕切られている畑地畑地からは甘い糖性の匂いがして、
前菜の卓のように蔬菜を盛り蒐めている。見廻す周囲は松林や市街のあふれらしい人家に....
「道標」より 著者:宮本百合子
奥にあるレーニングラード※ヴ・オ・ク・スは丁度手綺麗な切子ガラスのオードウヴル(
前菜)の皿のようだった。よけいなものは何一つない。いるだけのものは揃えられている....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
かしたまには笑いっ放しに笑わせてしまうのもあってはどうかと思われた。食事時間前の
前菜にはなおさらである。 三番目「仇討輪廻《あだうちりんね》」では、多血質、胆....
「大阪を歩く」より 著者:直木三十五
居ないのか、一度、料理人に聞いてみたい。 フランス料理の、オードブル(突出し、
前菜)は冷たいのが百六十種、温かいのが二百種ある(宮内省司厨長秋山氏談)日本料理....
「長崎の印象」より 著者:宮本百合子
かけるのや、テーブルの下で長い脚を交互に動かしたりするのを眺めた。衝立の陰から、
前菜の皿を持って給仕が現れた。辞儀をする。腸詰やハムなどの皿を出す。若いアメリカ....
「長崎の一瞥」より 著者:宮本百合子
近い定席につくや否や、彼は、押えきれないらしい大きな倦怠から、うんと伸びをした。
前菜を捧げた給仕に、苦笑し乍ら呟くのが聞えた。 「ハ、ハ、眠たいです」 もう一....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
彼女の臙脂色の満唇と黒いヴェネツィア笹絹の夜礼服とが、いつかラトヴィヤのホテルで
前菜に食べた、私の大好きな二種の露西亜塩筋子の附け合せと同じ効果を出していたから....
「外来語所感」より 著者:九鬼周造
ことに必死の努力を払うべきである。失望するには当らない。「オールドゥーヴル」は「
前菜」に殆ど駆逐されたかたちである。「ベースボール」は「野球」に完全に駆逐されて....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
老人はただもう有頂天になって、手紙を書いたり、馬の用意に使いを出したりして、
前菜《オードブル》とコニャクを出させた。彼は悦《えつ》に入ると、きまって口数が多....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
イブン・サウドのことを思い出したのである。 回教料理は面白い。初めに幾種類かの
前菜が出て、それからいよいよ羊の肉となる。食卓の中央に焜炉が据えられ、焜炉の上の....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
ながら、 「この家は、アメリカ人のやっているバア・レストランで、スウェーデン式の
前菜を、アメリカ風にあちこちした、しゃれたオードォヴルを食わせるので有名なんです....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
拍手喝采。おかげさまで、ますますお腹がへってきた。 六 献立表に書いてある
前菜の四冷葷が炊白鶏を第一として歯鮑片、五番且、三絲※五などが卓上に現われる。そ....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
給仕が第一に運んできたのが鯨の味噌漬けの焼いたのに、鯨テキである。これは、ほんの
前菜に属するらしい。本物は、鯨のすき焼きだ。狭い食堂が、鍋下の火気で暑い。いずれ....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
んなに小さいながら親ガニであるそうだ。それに薄く衣をつけ、空揚げにした味は酒席の
前菜として杯の運びをまことによく助ける。私らは、ほんとうに賞喫したのである。フナ....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
「ほどなく肉皿《アントレ》も参りましょう。では紳士ならびにご令嬢、どうぞお席へ、
前菜《オオ・ドオヴル》でも始めることに致しましょう」と威儀を正して披露《アノンセ....