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「前足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
糸の編みものも交《まじ》っていないことはない。行火の裾《すそ》には黒猫が一匹時々前足を嘗《な》めている。 43 行火の裾に坐っている黒....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
の前後に輪を描いて、尾を空ざまに上げながら、砂のにおいをかぐように、頤《あご》を前足へすりつけて、びょうびょうとほえ立てる。――相手を殺したのに、気のゆるんだ次....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
に、何度も悲しそうな声を立てた。のみならずしまいにはその襖《ふすま》へ、がりがり前足の爪をかけた。牧野は深夜のランプの光に、妙な苦笑《くしょう》を浮べながら、と....
仙人」より 著者:芥川竜之介
、ちょいと後足《あとあし》だけで立って見せる。更紗《さらさ》の衣裳の下から見える前足の蹠《あしのうら》がうす赤い。――この鼠が、これから雑劇の所謂《いわゆる》楔....
」より 著者:芥川竜之介
。白はまだ子犬の時から、牛乳《ぎゅうにゅう》のように白かったのですから。しかし今前足を見ると、いや、――前足ばかりではありません。胸も、腹も、後足《あとあし》も....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
あるいはまた酒後の戯《たわむ》れに、相撲《すもう》をとる事も度々あった。犬は時々前足を飛ばせて、酔《よ》い痴《し》れた彼を投げ倒した。彼等はその度に手を叩いて、....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
来たのを知ると、すこし頭を上げて血走った目で悲しそうにぼくたちの方を見た。そして前足を動かして立とうとしたが、どうしても立てないで、そのままねころんでしまった。....
高野聖」より 著者:泉鏡花
かぬ。肩でぶッつかるようにして横腹《よこっぱら》へ体《たい》をあてた時、ようよう前足を上げたばかりまた四脚《よつあし》を突張《つッぱ》り抜く。 (嬢様嬢様。) ....
透明猫」より 著者:海野十三
この猫の目玉であるらしく思われる。 それから新発見があった。見えない猫の二本の前足が、細いゴムのバンドで結《むす》んであることだった。そのゴムのバンドは、草む....
宇宙の迷子」より 著者:海野十三
深い呼吸をして、気をしずめた。気がしずまったところで右足を高くあげた。まるで馬が前足をあげたように。それからその足をそっと垂直におろした。そのかっこうは、まるで....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
活きた猫なら秋谷中|私ら知己だ。何も厭な事はねえけんど、水ひたしの毛がよれよれ、前足のつけ根なぞは、あか膚よ。げっそり骨の出た死骸でねえかね。」 訓導は打棄る....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
外より前に整然と心得ているくらいは愚な事。ああ今頃は清軍の地雷火を犬が嗅ぎつけて前足で掘出しているわの、あれ、見さい、軍艦の帆柱へ鷹が留った、めでたいと、何とそ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
が可いじゃがあせんか。突然畜生の前へ突立ったから、ほい、蹴飛ばされるまでもねえ、前足が揃って天窓の上を向うへ越すだろうと思うと、ひたりと留ったでさ。畜生、貧乏|....
化鳥」より 著者:泉鏡花
だよ。」 この時猿が動いた。 九 一|廻くるりと環にまわって、前足をついて、棒杭の上へ乗って、お天気を見るのであろう、仰向いて空を見た。晴れる....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
が多い。彼は一々馬に眼をつけたがイベットは見えない。殆ど前半身を宙に伸び上げ細い前足で空を蹴て居る欧洲一の名馬、エピナールに乗り、その持主、パウル・ウエルトハイ....