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剔抉
「剔抉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剔抉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
して兜を抜いで降参した。その頃の若い学士たちの馬鹿々々しい質問や楽屋落や内緒咄の
剔抉きが後の『おぼえ帳』や『控え帳』の材料となったのだ。 何でもその時分だった....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
は盛んに柳暗花明の巷に馬を繋いだ事があるので、若い沼南が流連荒亡した半面の消息を
剔抉しても毫も沼南の徳を傷つける事はないだろう。沼南はウソが嫌いであった。「私は....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
京伝側が余り快く思わぬは無理もないが、馬琴が京伝に頼った頃の何十年も昔の内輪咄を
剔抉いて恩人風を吹かし、人倫とはいい難しとまで京山が罵るのは決して穏やかでない。....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
件において、それがあらゆる要素の根柢をなすものに相違なかった。おそらくこの時機に
剔抉を誤ったなら、この厚い壁は、数千度の訊問検討の後にも現われるであろう。そして....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
八郎は、いま枯菅を踏みながらこの猟館へと歩んでゆく。 しかし読者諸君は、自分が
剔抉し撲滅したこの一団に、なぜいま、左枝が訪れようとするのか疑念を持たれるだろう....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
こゝに遺憾に堪えなかったのは、当時の庄司署長が年少気鋭にしてよくかの如き大事件を
剔抉し得たが、惜むらくは未だ経験に乏しかったので、彼の自白に基いて有力たる証拠を....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
」 これには町内の者残らずが一様にあわを吹かされてしまいましたが、しかし右門の
剔抉《てっけつ》したとおり、糸屋の若主人の急死が、のぼせたんでもなく、てんかんで....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
なる失恋の結果からであるか、それともほかに何かかくされた事件があるか、その二つを
剔抉《てっけつ》すればいいのでしたから、もうこうなるとくるわにおける一介のぶこつ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
た。また、これが奇怪不審でなくてなんでありましょうぞ! 手間暇いらず、たわいなく
剔抉《てっけつ》できるだろうと思われたのはほんのつかのま――がぜんここにいたって....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
にとっても四十歳以前に其の傑作を生むことが恐らくは不可能であろう所の・)人間性|
剔抉《てっけつ》の近代小説道を捨てさせ、その代りに、此の上なく魅力に富んだ怪奇な....
「魔都」より 著者:久生十蘭
た者はない。甚だ剛直な性で不正に対しては飽くまでも苛酷、たとえ上長といえども爬羅
剔抉《はらてきけつ》することを辞せぬ、さながら検察のためにこの世へ生れて来たよう....
「作家の経験」より 著者:宮本百合子
れはおのずから変化して、次の世代へ進展するべき最もつよい要因である人間社会現実の
剔抉という剛情なきっさきを失った。作品の客観的な批評という今日での常識さえ、その....
「一九四六年の文壇」より 著者:宮本百合子
もつ今日のインテリゲンツィアの心理に反映して着手された作品でしょう。しかし自己|
剔抉《てっけつ》ということも主観の枠の中でされると、枠のひずんだとおりにひずむし....
「婦人作家」より 著者:宮本百合子
耐えかねて、「家」を否定した当時の若い世代が、個人の内部へ向けるしかなかった自己
剔抉となって「私小説」の源としての役割をおびた。 婦人作家の境遇は、まだまだ男....
「ベリンスキーの眼力」より 著者:宮本百合子
を深く傷ましめている。今世紀の野蛮性を、その社会的な原因の最も根蔕的な点にふれて
剔抉《てっけつ》し、その根源をとりのぞいて成長することが切望されているからである。....