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剛胆
「剛胆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剛胆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
形なしになる。ところで、恋というものは、そんなあさはかなもんじゃあない。なんでも
剛胆なやつが危険《けんのん》な目に逢《あ》えば逢うほど、いっそう
剛胆になるようで....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、怪しい老婆の正体は蛇であると決められてしまった。それが更に尾鰭を添えて、ある
剛胆な男がそっと彼の婆さんのあとをつけて行くと、かれは不忍池の水を渡ってどこへか....
「乱世」より 著者:菊池寛
へ、死は不意に彼らの顔をのぞき込んできたのである。宇多熊太郎、築麻市左衛門など、
剛胆をもってきこえた武士までが、ここへ来て以来、かなり沈んでいる。まして、最初か....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
悪をも、誇大に作り出して喋らないと、はばがきかない感じを受けた。いろ/\な前科と
剛胆な犯罪の経験をよけいに持っている奴ほど、はばをきかし、人を恐れさし、えらばっ....
「前哨」より 著者:黒島伝治
なとき、いつも雑談の中心となるのは、鋳物工で、鉄瓶造りをやっていた、鼻のひくい、
剛胆な大西だった。大西は、郷里のおふくろと、姉が、家主に追立てを喰っている話をく....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
(一六四五?―一七〇一)――十七世紀の末の有名な海賊。スコットランドに生れ、初め
剛胆な船長として世に知られていたが、のち海上生活を退いてニューヨークに隠退中、そ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
きった事である。特《こと》に前年自分が氏郷を招いた前野の茶席の一件がある。如何に
剛胆な政宗でも、コリャ迂闊《うかつ》には、と思ったことで有ろう。けれども我儘《わ....
「鹿狩り」より 著者:国木田独歩
ってくれた、義父が見ると気嫌を悪くするから。 人のいい優しい、そして勇気のある
剛胆な、義理の堅い情け深い、そして気の毒な義父が亡くなってから十三年忌に今年が当....
「盗まれた手紙」より 著者:佐々木直次郎
うがよくはなかったかね?」 「D――は」デュパンが答えた。「向う見ずな男だ。また
剛胆な男だ。それに彼の邸には、彼のために身命をささげた従者たちもいる。君の言うよ....
「花咲ける石」より 著者:坂口安吾
こにもケガをしていなかった。祖父の治右衛門は法神の指折りの門下であったから、孫の
剛胆沈着なのに舌をまき、剣を仕込むことにした。上達が早くて自分では間に合わなくな....
「日置流系図」より 著者:国枝史郎
いて名を当世に揚げようと屋敷の玄関までやっては来たが、大概一矢で追い返されよほど
剛胆な人間でも二筋の矢の放されるを聞いては、その掛け声その矢走りの世にも鋭く凄い....
「今昔茶話」より 著者:国枝史郎
こって、俺を埋めようとしたって、俺、ビクともしないよ、といったような、よく云えば
剛胆、素直に云えば胆汁質のボーッとした態度で、 「禿頭病にかかったんだ」 と云....
「拷問の話」より 著者:岡本綺堂
とう堪え通した。綿のように疲れきって牢屋に帰ってくると、名主や役附の者どもは彼の
剛胆を褒めそやして、総がかりで介抱してやった。気の弱い罪人は一回の拷問で問い落さ....
「時勢と道徳観念」より 著者:喜田貞吉
け短なりけれども、魂はいみじき盗人にてぞありける」と云っている。盗人とはすなわち
剛胆者の称だ。徳川時代には海賊はすなわち海軍であった。海賊奉行はすなわち海軍奉行....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
性格創造である。この快活、饒舌、柔和、慇懃、陰険、横柄、勇敢、残忍、聡慧、雄弁、
剛胆、狡猾――端倪すべからざる人物は、実に溌剌として紙上に躍っているのが見られる....