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剥がす
「剥がす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剥がすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
かたまり》をつかみ出した。そして筍《たけのこ》の皮を剥《は》ぐように幾枚もの紙を
剥がすと真黒になった三文判がころがり出た。彼れはそれに息気《いき》を吹きかけて証....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
く》われて一、二回滑り落《おち》、巌石《がんせき》の道では躓《つまづ》いて生爪を
剥がす者などもある。その上、虻《あぶ》の押寄せる事|甚《はなはだ》しく、手や首筋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
さんの云う通りだ。万さんもなかなか慾張っているからね。ときどき生爪《なまづめ》を
剥がすことがあるのさ。そこで、あの掛地はどこの出物《でもの》ですえ」 「さあ、生....
「俊寛」より 著者:菊池寛
も、激しい渇きは、彼を一刻もじっとしていさせなかった。彼は、寝ていた岩から、身を
剥がすようにして立ち上った。立ち上るとき、身体のもろもろの関節が、音を立てて軋る....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
―人も立ち会い、抱き起こし申す縮緬が、氷でバリバリと音がしまして、古襖から錦絵を
剥がすようで、この方が、お身体を裂く思いがしました。胸に溜まった血は暖かく流れま....
「家」より 著者:島崎藤村
いくら寝ても寝足りないという風である。勤務の時間が近づいたと聞いて、彼は蒲団を引
剥がすように妻に言付けた。 「宜う御座んすか。真実に剥がしますよ――」 お雪は....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
、フジサンガマタナクと書いてある。 「あら」と女の人は恥かしそうに笑ってその紙を
剥がす。 「章ちゃんがこんな悪戯をするんですわ。嘘ですのよ、みんな」と打消すよう....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
取り出したいものだと、にわかに興奮に駆られるようす。 「誰かある。何か、この紙を
剥がすものはないか」 ヘヤ・ピンではどうで……小姓が顔を出すのを待ちかねて、吉....
「露肆」より 著者:泉鏡花
たように言いながら、大出刃の尖で、繊維を掬って、一角のごとく、薄くねっとりと肉を
剥がすのが、――遠洋漁業会社と記した、まだ油の新しい、黄色い長提灯の影にひくひく....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、彼は非常の恐怖を感じたので、断然わたしの注意にしたがって、その壁をめくり、床を
剥がすことに決心して、すでにその職人とも約束しておいたから、わたしの指定の日から....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
日になっても開こうとはしないのです。 そうして、私の病いも、それと同時に薄皮を
剥がすように癒ってゆきました。 ところが、はじめて床を出た今朝、ふと気がついて....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
、徹宵、能楽の鼓を打っていた。翌日、門に大きい膏薬《こうやく》が貼ってあるので、
剥がすと、黒々と「天下の大出来物」と書いてあった。
斉彬《なりあきら》は、この....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
幾重にも巻き襲《かさ》なって直立した茎の形を偽装しており、これを幾枚にも幾枚にも
剥がすことが出来、それはちょうど真っ白な厚紙のようである。 『万葉集』巻四に「三....
「錦紗」より 著者:犬田卯
ア、ばかだな、この人は。」 「可哀そうなはこの子でござい、か。」 「兄貴から取っ
剥がすさ。」 「なアんで、そんなこと……そんなこと出来るくらいなら、はア、俺だっ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、その脚の細さ、みどころと云ってはいくらもない、腹に真紫の粒々の子が満ちて、甲を
剥がすと、朱色の瑪瑙のごとき子がある。それが美味なのだという。(子をば食う蟹)か....