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剥脱
「剥脱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剥脱の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
喬介が訊いた。 「ええ、ありません。もっとも、顔面、掌その他に、極めて軽微な表皮
剥脱|乃至皮下出血がありますが、死因とは無関係です」 喬介は警察医と向い合って....
「壊滅の序曲」より 著者:原民喜
なが》めていた。すぐ眼の前に隣家の小さな土蔵が見え、屋根近くその白壁の一ところが
剥脱《はくだつ》していて粗《あら》い赭土《あかつち》を露出させた寂しい眺めが、―....
「小浅間」より 著者:寺田寅彦
をした岩片も散在している。このままの形で降ったものか、それとも大きな岩塊の表層が
剥脱したものか、どうか、これだけでは判断しにくいが、おそらく後者であろう。こんな....
「文芸時評」より 著者:宮本百合子
っている。石川氏という作家の資質にあった題材でもある。 村民の経済事情が悪化し
剥脱されてゆく過程、市会議員の利権あさり、官僚的冷血、自然発生的に高まりやがて無....
「夜叉のなげき」より 著者:宮本百合子
制限をめぐって、一つの声は人間的欲求であったし、一つの声は非人間的な或る意味での
剥脱の声なのである。こういう現実に即してみたとき、もし産制の運動者が今日のアメリ....
「落ちたままのネジ」より 著者:宮本百合子
の中で、日本の作家は真の個人主義時代を通過していない。そのために、封建的な自我の
剥脱に抗する心持と、新しい社会的事情に向っての闘争の過程で自己を拡大するため、集....
「科学論」より 著者:戸坂潤
ない。区別はただそれだけだ。だからこの科学的世界観でも、それが常識として社会的に
剥脱すれば、之も亦単なる常識的世界観へと資格を代えるのである。第一次の世界観もこ....
「認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
、ヘーゲルの「自己疎外」など)。 処で模写説を仮に、その何等かの歴史的形態から
剥脱させて(実はそういうものは歴史上なかったのだ――弁証法的唯物論が登場するまで....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
自然はその自然としての特性、つまり人間に先んじて成立しているという特性、を見事に
剥脱されて、客体的である代りに、まさに主体的であるものにまで、変貌させられてしま....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
的な意味のある得度式であったらしい。 光養麿の祖父である大谷句仏氏は今は僧籍を
剥脱されて一介の俗人に過ぎないのだが、それがこの得度式に前法主として出席しようと....
「秋の気魄」より 著者:豊島与志雄
は厚顔無恥のためにか、身に感じないていの者であるに相違ない。 かかる落葉の――
剥脱の――世界に、更に特殊の気味を添えるものは、淡いながらに鋭い日の光である。や....
「自転車嬢の危難」より 著者:ドイルアーサー・コナン
は僧職は授けられていますよ」 この老悪漢は叫んだ。 「そしてまた、その僧職は、
剥脱されているだろう」 「一度牧師になった者は、いつまでも牧師ですよ」 「そんな....
「土から手が」より 著者:牧逸馬
屋のマアクが切り取ってあるし、その他、特徴として身許の手掛りになるような物は一切
剥脱してあるのである。実に、恐しい程の注意が、着衣の細部に亙って加えられているの....