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剥離
「剥離〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剥離の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
を感じた。入院してから七度台に熱の下がったのはこの朝が始めてだったので、もう熱の
剥離期《はくりき》が来たのかと思うと、とうとう貞世の命は取り留めたという喜悦《き....
「富士」より 著者:岡本かの子
雲は日のある空へ棚引いては消え去る。消え去るあとからあとから、藍墨の掃毛目の空は
剥離して雲を供給する。峯はいつまで経っても憂愁の纏流《てんりゅう》から免れ得ない....
「振動魔」より 著者:海野十三
で、ほんの僅かの力でもって子宮壁に付着しているのだった。注射器を使って子宮の中に
剥離剤を注入すれば、その薬品が皮膚を蝕すため、胎児と子宮壁とをつないでいる部分の....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
図書室で百科辞典を調べて見た。それは欧洲文芸復興期の人性主義が自然性からだんだん
剥離して人間|業だけが昇華を遂げ、哀れな人工だけの絢爛が造花のように咲き乱れた十....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、彼が入りしなすでに発見したことであったが、扉から三尺ほど離れている所に、木理の
剥離片が突き出ていて、それに、黝ずんだ衣服の繊維らしいものが引っ掛っていたからだ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ていて、理博です。自然科学の面白い話なんかきいたことがあったけれど、この人が眼底
剥離とか云う病になってもう顕微鏡が見られなくなりました。そこで職業がかわり、暮し....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
感を彩るだけで、彼女の心意を撼がしはしない。そして営養不良と身体薄弱のために胎児
剥離の必要に当面すると、涙一滴浮べずに、簡単にそれを承諾してしまう。恐らく「脚を....
「ヒロシマの声」より 著者:豊島与志雄
は洗われたように白ずむ。この現象は多くの墓石などにも見られるし、或いは石の表面が
剥離してるのもある。前記銀行の石段は雲母が熔解して白ずんだが、人影のところだけ旧....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いていた城壁は、神も芸術も傲慢《ごうまん》も道徳も、皆次々に崩壊してゆき、彼から
剥離《はくり》していった。裸体で、縛《いまし》められ、寝かされ、身動きもできない....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あったかと云うと、急激な膨脹と収縮が相次いで起ったために、表面の金泥が浮き上って
剥離しかかっていた所なので、あの猛烈な遠心力が、一気に振り飛ばしてしまったのだ。....
「黒い手帳」より 著者:久生十蘭
りして悩ましたが、この朝の騒ぎはじつに馬鹿馬鹿しいもので、そのために天井の壁土が
剥離《はくり》してさかんに顔のうえに落ちてくる。これは我慢がなりかねた。 無言....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
に上のほうへ走りあがってゆき、大巾《おおはば》な岩側が自重《じじゅう》で岩膚から
剥離《はくり》しはじめた。 原田氏は、二人より比較的入口の近いところにいた。 ....
「クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
媒介機能の第一の現われであると云える。個々の文化作品の特殊性に基く固着と膠着とを
剥離して、文化的普遍性の軌道に乗せることが、クリティシズムの否定作用と考えられた....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
ならなくなりました。その痛みは珪次から離れて、この中年の男に牽かれ始めた私の魂の
剥離作用に伴う痛みではなかったでしょうか。 母の家政のやり方をただ虚栄で我儘と....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
く特異のものであり、私はこれを特別に原子爆弾熱傷と命名したい。これは熱傷部の皮膚
剥離を伴うもので、即時発生した。熱傷を受けた部分だけが皮下組織から
剥離し、一セン....