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剰余
「剰余〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剰余の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高山の雪」より 著者:小島烏水
なる北風は、多量の雪を北アルプスの斜面や、山頂に振り落して、南アルプスには、その
剰余を、分配するに過ぎないからではなかろうか。
雪が氷河になると、その山側を擦....
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
延岡へ行かれる。その代りがくる。その代りが古賀君よりも多少低給で来てくれる。その
剰余《じょうよ》を君に廻《ま》わすと云うのだから、君は誰にも気の毒がる必要はない....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
歳の初めは今の八月に当る。一年を三六五日にするために歳の終りへもってきて『五日の
剰余日』を置いた。太陽の一周行の期間は三六五日より五時間四分の三だけ長いから、だ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のだね」
「無論|鐘鳴器の音でだよ」と法水は無雑作に答えた。「つまり、ミルの云う
剰余推理さ。アダムスが海王星を発見したというのも、残余の現象は或る未知物の前件で....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
原料価格と販売価格の「統制」をする。そうすれば、彼等は一方では労働者を犠牲にして
剰余価値をグッと殖やすことが出来ると同時に、こゝでは価格が「保証」されるわけだか....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
ろから葉子の手に渡された。彼女はべらべらとそれをめくっていたが、二十枚も取ると、
剰余をそっくり庸三に返した。 「すみません。」 「どうしまして。」 庸三は病院....
「黴」より 著者:徳田秋声
ら持って帰った衣類をどこかで金に換えると、医療機械屋で電気器械を一台買って、その
剰余で、こまこましたいろいろのものを、時々|提げて帰って来た。 机を据えたのは....
「読書法」より 著者:戸坂潤
、又二つの折衷でもなくて、最小費用最大効用という経済の理想へ進むことから来る差額
剰余の拡大が、価値の唯一の現実的な量だと考えられる。価値が現象する形態はそうだろ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
一座の劇はさながら褥熱に対する氷のごとく、十万の市民に、一剤、清涼の気を齎らして
剰余あった。 膚の白さも雪なれば、瞳も露の涼しい中にも、拳って座中の明星と称え....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
日常的な必然とは普通一般のことを指し、之に反してこの普通一般で割って割り切れない
剰余をば特異な偶然と考えている。つまり偶然とは必然の残余だという、偶然――必然に....
「浅間山麓より」より 著者:寺田寅彦
出した熔岩は、重力という「鬼」の力で押されて山腹を下り、その余力のほんのわずかな
剰余で冷却固結した岩塊を揉み砕き、つかみ潰して訳もなくこんなに積み上げたのである....
「スポーツの美的要素」より 著者:中井正一
々が関心をもっている。それを今類別するならば大体五つに分れるかと思う。まず第一は
剰余エネルギー論というべきものである。シラーが『人間の美的教育論』にのべており、....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
七十円の売価のものに対しては約三分の一位の補助金が出た上、閉会後、入場料総計算の
剰余金を出品人に割り戻したので、出品高に応じて十円か十五円位を各自に下げ渡しまし....
「瘤」より 著者:犬田卯
額を出さねばならなかったのだ。そして六百何十円――約七百円近く集まった金は一銭の
剰余も不足もなく金ピカの大礼服及び付属品|一切代として決算せられたのである。柳原....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
きわまる。出ようじゃありませんか。」これは俊敏だ。 実際私たちは、怪しいお客の
剰余じゃないんである。駅から町長の案内で、海岸寄りのBB旅館の前に初めは立った。....