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剰銭
「剰銭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剰銭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
たく驚きて面《かお》を背《そむ》けぬ、世話人は頭を掻《か》きて、 「いや、これは
剰銭《おつり》が足りない。私もあいにく小《こま》かいのが……」 と腰なる蟇口に....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
だよ」 二朱《にしゅ》の銀《かね》をお絹から貰って、お此は又おどろいた。お絹は
剰銭《つり》はいらないと言った。 「その代りにお前さんにことづけを頼みたいんだが....
「明暗」より 著者:夏目漱石
茶店のすぐ前にあった。彼は電車よりも狭いその車を眼の前に見つつ、下女から支度料の
剰銭《つり》を受取ってすぐ表へ出た。切符に鋏《はさみ》を入れて貰う所と、プラット....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、大恥辱。」 「旅馴れないのは、かえって江戸子の名誉なんですわ。」 ボオイが
剰銭を持って来て、夫人の手に渡すのを見て、大照れの主税は、口をつけたばかりの珈琲....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
じゃ、酸いも、甘いも、知っていて、旦那を三銭とも思ってやしない。僕が二厘の湯銭の
剰銭で、(ちょいとこさ)を追返したよりは、なお酷く安くしてるんだ。その癖、世間じ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
と思ったんです。 何にも云わないで、ぐんぐん引張って、かぶりを掉るから、大方、
剰銭を寄越そうというんでしょうと思って、留りますとね。 やッと安心したように手....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
幣一枚だして、 「少しですみませんが、これ取って置いてください」 「これじゃ、お
剰銭がねえがの。いまちょうと細けえのがねえんで――」 「お
剰銭なんぞ、いいんです....
「『七面鳥』と『忘れ褌』」より 著者:佐藤垢石
爺さんは、低く頭を下げた。当時の物価では、これだけの買物についてくる二朱金の
剰銭は莫大である。 五 爺さんは、酒と摘み物を買ってきた。すると有村....
「銀座」より 著者:永井荷風
た女《おんな》ボオイに、義理一遍のビイルや紅茶を命ずる面倒もなく、一円札に対する
剰銭《つりせん》を五分もかかって持《もつ》て来るのに気をいら立てる必要もなく、這....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
辺を歩いた後、わたくしは郵便箱の立っている路地口の煙草屋で、煙草を買い、五円札の
剰銭《つり》を待っていた時である。突然、「降ってくるよ。」と叫びながら、白い上ッ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
身の母子の情の出ないのは当り前だ、それを無理に出そうとすれば、自然、どこかからお
剰銭(反動)が出て来るにきまっている。だから、その無理は止めるとして、その代りに....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
かつ》の吉《ヨウ》さんに取られてしまったのよ。」とはなし出した時会計の女が伝票と
剰銭《つりせん》とを出す。その時この店の持主池田|何某《なにがし》という男に事務....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ると蛙のようにピョコピョコして、草履を買うといって湯どうふ屋の外へ出た。 その
剰銭で、どこかで冷酒の盗み飲みをした宅助は、やっと虫が納まって、ふらつくのを、無....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ったお代を払っていただきたいんで」 「酒代か」 「へい」 「正直なやつではある。
剰銭はいらんよ。酌の小女にくれてやったのだ。取っておけ」 「おふざけなすっては困....
「世間師」より 著者:小栗風葉
に四|片というのを、私は六片食って、何の足しにということはなしに二銭銅貨で五厘の
剰銭を取った。そんなものの五片や六片で、今朝からの空腹の満たされようもないが、そ....