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「力の限り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

力の限りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
肩へ抱《だ》き取った。そうして二三歩歩いてから、一度眼の上までさし上げて置いて、力の限り向うへ抛《ほう》り投げた。岩は凄じい地響きをさせながら、見物の若者たちの....
或る女」より 著者:有島武郎
かたたきつけるものでもあれば、そして世間というものが何か形を備えたものであれば、力の限り得物《えもの》をたたきつけてやりたかった。葉子は小刻みに震えながら、言葉....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
《かすみ》と走りければ、美人は魂身に添わず、目を閉じ、息を凝らし、五体を縮めて、力の限り渠の腰に縋《すが》りつ。風は※々《しゅうしゅう》と両腋《りょうえき》に起....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ては居る者の、何の抵抗もせずに阿容《おめ》々々と食われて仕舞うは否だ、叶わぬ迄も力の限りを盡して雌雄を決して見ねば成らぬ、ナンの虎ぐらいがと跳ね返して飛び起きよ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
た。あの人々は生命の空虚から救い出されたい為めに、他人の自由にまで踏み込んでも、力の限りを一つの極に向って用いつつあるのだ。それは或る場合には他人にとって迷惑な....
死生」より 著者:幸徳秋水
恋愛の為めに、或は意気の為めに、兎に角自己の生命よりも重しと信ずる或物の為めに、力の限り働らきて倒れて後ち已まんことは、先ず死所を得たもので、其の社会・人心に影....
連環記」より 著者:幸田露伴
牛もあった。これもまた牛馬が用いられた世の事で何の不思議もないことであった。牛は力の限りを尽して歩いている。しかも牛使いは力むること猶足らずとして、これを笞うっ....
小公女」より 著者:菊池寛
、道行く人の同情を惹くくらいでした。が、彼女は同情の眼で見られているのも知らず、力の限り『つもり』になろうと努力していました。 「私は乾いた服を着ているつもりに....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
とだけで、悔いの欠片も残さずケロリと断念めてしまうものである。 人間は、自分の力の限りというものを知っている。 けれども、稀に出る、高い稟性を持つ人物という....
俊寛」より 著者:倉田百三
めてみたのだ。しかし成親殿はまるで何ものかにつかれているように頑固だった。わしは力の限り抵抗したけれども、彼の欲望に征服されてしまった。彼の欲望は奈落の底に根を....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
た。 「駄目だっ、畜生」 片手ながら力一杯。悪僧がぐっと引いた。二人も一生懸命力の限り引いた。少時綱引きの力競べになった。空船は途中で迷っていたが、坊主がうん....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
けて、後の村から二三の人が駈けて来た。其跫音を聞くと、敵も流石に狼狽えたらしく、力の限りに七兵衛を突退け刎退けて、あなたの森へ逃げ込んで了った。 が、主人の行....
」より 著者:カフカフランツ
だ家のなかにいるのだろうか。ほかの可能性はないように思われた。それでもKはなお、力の限り名前を叫んだ。その名前を呼ぶ声が夜を通して高々と響いた。すると、遠くから....
変身」より 著者:カフカフランツ
めにおろおろしているように見えたが、まもなく黙ってしまい、たんすを運び出すことで力の限り妹を手伝っていた。ところで、たんすはやむをえないとあればグレゴールとして....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
て、忘却のかなたに沈み去った。 エリザベスは、激情と悲愁の最初の衝撃を、自己の力の限り拒否した。けれども免れようもない反動はすぐきた。エセックス事件をまざまざ....