力抜け[語句情報] » 力抜け

「力抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

力抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
と、もう、十時半だ。しかし、まだ暑いので、褥を取る気にはならない。仰向けに倒れて力抜けがした全身をぐッたり、その手足を延ばした。 そこへ何物か表から飛んで来て....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
復一さんが帰ってらして私も心強くなりますわよ」 復一は逢ってみれば平凡な彼女に力抜けを感じた。どうして自分が、あんな女に全生涯までも影響されるのかと、不思議に....
河明り」より 著者:岡本かの子
に立って、家事を引受けていたが、不思議な事には喧嘩相手の無くなったことに何となく力抜けのした具合いで床につき勝ちになり、それから四年目の木下が十三歳、娘が五つの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
に出たのではありません。しかしながら相手は決して出て来ませんでした。自然、米友は力抜けがしました。 「どうもおかしな奴だな、今、ああして俺らが後ろへ飛んだ時に、....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
しかるに今はどうだ。最後の目的たる駿三は一足おさきに死んでしまつた。彼は少からず力抜けているのみか、一体駿三は誰に殺されたのか、という疑惑の中にさえいる。僕はそ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ほかの人にとっては、気のつかないことでしたが、七兵衛にとっては一時《いっとき》、力抜けのするほど案外のことでありました。 ムク犬が吠えない代りに、ちょうどこの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
い。いかなイカモノ食いでも、これはカジれまい――そこでがんりきも、ばかばかしさに力抜けがしてしまいました。 すべて、がんりきの目安では、あらゆる男性を区別して....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
眼を定めて見直すと、これは巨大なる石の地蔵尊の坐像であったことを知って、いささか力抜けがしました。 右の巨大なる石の地蔵尊が安坐しているその膝元には、まだ消え....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
悪かった」 と言って、ぐんにゃりと萎《しお》れたのは少しく意外で、お角がかえって力抜けがしました。そこで極めて温和《おとな》しく、いったん抜いた刀をも鞘《さや》....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ると、二人の使者は、さっぱり張合いがなく、 「いやどうも、少々とまどいを致して、力抜けの体《てい》でございました、それがため復命が遅れて申しわけがござりませぬ、....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
を圧えたってはじまらない。は、はは、いや、しかし弱い男だ。」 「ふ、ふ、」 と力抜けた声で笑って、 「奥さんは?」と俯向けに額を圧える。 「御心配に及びません....
神棚」より 著者:豊島与志雄
、と自信ありげに云い捨てて帰っていった。 所が、池部が居なくなると、俺は何だか力抜けがしたような気持を覚えた。痩せてはいるが変に骨の堅そうな彼の身体つきが、ど....
女性の諸問題」より 著者:倉田百三
ている。恋愛についてこうした理想的な要請をする場合に、私たちはそのことを考えると力抜けがするのを感じる。これはどうしても社会制度一般の正しい建てなおしをしなくて....
『七面鳥』と『忘れ褌』」より 著者:佐藤垢石
ど、右の方へ一寸ほどあげて腹を切ったが、朝からの奮闘の上に重傷を負ったため、腕に力抜けてそれなりに路上に突き伏した。但馬守の辻番所の中で絶命したのは、それから半....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
ていませんね。祈りの気持ちは実行的精神の最深なるものと思います。私はこの頃何だか力抜けがしたような気がして空虚でたまりません。もっと確かな歩みをしたい。それには....