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助け船
「助け船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
助け船の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
育った自分には、彼の脳天を動きつつある雲の往来《ゆきき》がよく解った。
自分は
助け船が不意に来た嬉《うれ》しさを胸に蔵《かく》して兄の室《へや》を出た。出る時....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
うちに水はだんだんに増して来て、大きくもない屋根船は沈みかかる。船頭は大きい声で
助け船を呼ぶ。女中たちも必死になって呼び立てる。それを聞きつけて、佐賀|町《ちょ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、見す見す天竺へ吹き流されるだ、地獄の土でも構わねえ、陸へ上って呼吸が吐きたい、
助け船――なんのって弱い音さ出すのもあって、七転八倒するだでな、兄哥|真直に突立....
「わが町」より 著者:織田作之助
るくるした眼で、はいって来て、 「――他あやん、お前の言い分は、そら目茶苦茶や」
助け船を出したが、もう他吉はきかず、無理矢理説き伏せて、新太郎をマニラへ発たせた....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
後生ですから此児《これ》と二人で、日光へ行くことをお許しくださいまし」 意外な
助け船に、お美夜ちゃんはたちまち眼をかがやかして、 「母ちゃんも、お爺ちゃんに会....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
利かねえだに、もうちっとだ辛抱せろ、とぐらぐらと揺り出しますと、死ぬる、死ぬる、
助け船引と火を吹きそうに喚いた、とのう。 この中ではござりませぬ、」 と姥は....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ていいか、ちょっと戸惑いをした形でいると、 「お母さん」 と、意外なるところから
助け船ではないが、ちょっとばつの悪くなった気合を補ったのは、同伴の沈勇なる少年で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に、あいつが、なまなかのことで、つかまるものか」 「でも、あぶないもんだ、一番、
助け船を出してやろうか」 「よせよせ、打捨《うっちゃ》っておけ、けっこう、一人で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
った時、この騒動が、意外な出来事に転嫁されるようになったのは、道庵にとっては全く
助け船でありました。 「熊が出た! 熊だ! 危ない! 熊だ!」 という叫喚が聴衆....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
れない。 龍睡丸は沈没して、乗っていた者は、みんな死んでしまったのだと思って、
助け船など、出してはくれないかも知れないのだ。 だから、米は、最後の食糧として....
「アラビヤンナイト」より 著者:菊池寛
った人はないのです。ごらんの通り、後はとてものぼることのできない山ですし、また、
助け船が来ることのできるところでもありませんから。」と、言いました。 しかし、....
「戯作者」より 著者:国枝史郎
馬琴は不思議そうに眼をパチつかせる。 「偉いお荷物を背負い込んでね、大あぶあぶの
助け船でさあ。実は……」と京伝は蔦屋との話をざっと馬琴へ話した後、 「新年と云っ....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
売る手打ちをするつもりでおりましたよ。そのまぎわに、あなたという人が、金をもって
助け船にあらわれるとは、まるで、作ったようなはなしでございますねえ」
「何でもい....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
払いの廉で逮捕されてしまった。しかし、彼はただちにロバアト・セシルとエガアトンに
助け船を求めたので、この二人がともどもに彼をこの受難から救ってくれ、以後、彼は公....
「俗臭」より 著者:織田作之助
々むつかしかった。危く結婚し損うところであった。伝三郎が「好いた同志やないか」と
助け船を出した揚句、結局このまえ無理に離婚させたことの償いとして許された。割に盛....