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労り
「労り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
労りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
これ気を揉んでおりますけれども、どこが痛むというではなし、苦しいというではなし、
労りようがないのでございますよ。それでね、貴方、その病気と申しますのが、風邪を引....
「河明り」より 著者:岡本かの子
れ等のすべてが婚礼支度であることは判る。私はそれ等の布地を、転び倒れているものを
労り起すように 「まあ、まあ」と云って、取上げてみた。 生地は紋綸子の黒地を、....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
が復一の胸に沁み渡ると、散りかかって来る花びらをせき留めるような余儀ない焦立ちと
労りで真佐子をかたく抱きしめたい心がむらむらと湧き上るのだったが……。 復一は....
「食魔」より 著者:岡本かの子
した。鼈四郎は捏ね板へ涙の雫を落すまいとして顔を反向けた。所詮、料理というものは
労りなのであろうか。そして
労りごころを十二分に発揮できる料理の相手は、白痴か、子....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
―或る時期からの逸作は、かの女を妻と思うより娘のように愛撫し、むす子は妹のように
労り、現に規矩男という怜悧な意志を持つこの若者までが、恰も同年輩か寧ろあるときは....
「明暗」より 著者:岡本かの子
姜――青い青葉、青い虫、黄いろい菜の花、山吹の花。 こう愛情で心身の撫育を添え
労りながら、智子の教え込む色別を三木雄は言葉の上では驚くべき速度で覚えて行った。....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
かり慶四郎にもたれかかったりするのであった。 慶四郎は、その千歳をいとしそうに
労りながら、 「疲れたのかい。もう少しの辛棒」 青葉の包みをほぐした中に在るよ....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
んでござる。美しい女子ではあり、先方から参ったものではありして、拙者、遠慮なく、
労り、介抱いたし……女子も満足いたしたかして眠ってござる。……しかるにその女子、....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
味わっていた。その貧しい間にありながら、妻は何の不平もなく五人の子供を育て、私を
労り励ましてきた。よく、貧乏に堪えた。そして、愛を護ってきた。 ところが、突然....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
りだから」 眞「私も其の方が宜いのでげす、斯うやって三人で歩くと、私はお梅はんを
労り、あんたは無暗に駈けるから歩けやアしない、どうも私は草臥れていかぬ、それじゃ....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
である。 私は妻の肩揉むことも厭うたではないか。妻の眠られぬ苦しみにもさしての
労りも示さなかったのではないか。まして、蒲団の火に驚いた私は、妻を畳の上に捨てお....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
こでは、内輪同士の親しさがあるだけだった。――ほどなく、四人皆して覚一の足もとを
労りながら、屋敷の裏へ降りて行った。 一夜あけると、大蔵の邸は、花嫁の輿の道す....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
原でプロペラ船を下りる。断崖の上に見える旅館へ、昼食を求めに登ってゆく。Kさんの
労り心、ぼくに、杖を渡してくれる。この杖、石楠花の木なり。「道中の花はこれにおし....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
しかし武蔵は、笑えなかった。 ふと、愍れになったのである。かえって、この敵に、
労りたいようないい知れぬ同情を持たせられて、 「おばば、おばば、まあ待ちなさい」....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
異、わが未熟は恨むとも、なんで其許を……」 と、微笑をみせ、 「おやさしい、お
労りをうけ、かたじけない」 と、眼に露を見せた。 そして小次郎が帰ると、枕辺....