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勃然
「勃然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勃然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、さびしい表現法で、そして息気《いき》づまるような若さと若さとの共鳴の中に……。
勃然《ぼつぜん》として焼くような嫉妬《しっと》が葉子の胸の中に堅く凝《こご》りつ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
この汀《みぎわ》を離れて、渠は推し仆《たお》されたりしあたりを過ぎぬ。無念の情は
勃然《ぼつぜん》として起これり。繊弱《かよわ》き女子《おんな》の身なりしことの口....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
の素振りがなんだか自分たちを軽蔑《さげす》んでいるらしくも見えたので、お絹はまず
勃然《むっ》とした。 「それでもよく出て来てくれたね」 男がさした杯をお絹はだ....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
締めて、ようやく渡り終ってその絶壁を振り向いた刹那、彼の心にはとっさに大誓願が、
勃然として萌《きざ》した。 積むべき贖罪《しょくざい》のあまりに小さかった彼は....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いたが、こっちの横顔をぬすむように窺いながら三、四間ほども付いて来るので、半七も
勃然として立ち停まった。 「おい、大哥。わっしになにか用でもあるのかえ。花見どき....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
まいので、大勢の人のうしろを通るのは窮屈に相違ないが、あまりに強く蹴られて紋作は
勃然とした。 「誰だい」 振り返ってみると、それは衣裳をあつかっている定吉とい....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
とわれながらいまさらのように呆れ返るのだった。そして可愛い初孫の顔を見た瞬間に、
勃然として心の底に人間の弱さをおぼえた風間老看守の心境も、なんだか、わかるような....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、山に響いてからからから、からからからから。 「あはははははは。おほほほほほ。」
勃然とした体で、島田の上で、握拳の両手を、一度|打擲をするごとくふって見せて、む....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
生きられない。ううむ。」 うむと唸って、徳利を枕にごろんとなると、辷った徳利が
勃然と起き、弦光の頸窪はころんと辷って、畳の縁で頭を抱える。 「討死したな。……....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
あったが、怪我人の傷を一眼見るや俄然態度が緊張まった。つまり医師としての自尊心が
勃然湧き起こったからであろう。彼は片手をズイと差し込みそろそろと肌にさわって見た....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
とではあり、そうでなくてもこういう場に臨めば、そこは武士で義侠の血も湧き、勇気も
勃然と起こるものであり、やにわに刀を引き抜いた。 腹背敵を受けたばかりか、その....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
出でお出でを極めるとは、図迂図迂しい奴、忌々しい奴と、市郎は惘れを通り越して、稍
勃然とした。 見ればお葉は嫣然して、相変らず小手招ぎをしている。市郎は黙って霎....
「活人形」より 著者:泉鏡花
く処はない。実に不思議でなりません。とさすがの得三も呆れ果てて、悄れ返れば高田は
勃然として、「そういうことのあろう道理は無い。ふふん、こりゃにわかにあの娘が惜し....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
頭にかかり、虫声露光、あたかもわが三五の明月を望むがごとく、壮快極まりなく、吟情
勃然として動く。 船入南阿尽処郷、環涼。 (船は阿南端の町に入り、湾をめぐる家屋....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
かった。 風呂に入って薄化粧をして気持がよくなると、さらにまた空中征服の野心が
勃然として湧いてきた。で、彼女は博労町の弘子伯母さんや、常子さんなどと、煤煙禁止....