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勇む
「勇む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勇むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
おいや》られた大勢の姉様《あねさん》は、まさに救われてその通り天にのぼる、と心が
勇む。 一足先へ駈出して、見覚えた、古本屋の戸へ附着《くッつ》いたが、店も大戸....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
、そは、別けて知恵優れし神なりき。 エオスはアストレオスと契りて、制し難き雄心に
勇む風の神を生みぬ。 ゼフューロス(Zefyros)(注二)は息吹きも暴し。 ノ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ら、早いところおいでなさいましよ」 素足に雪駄、巻き羽織のしのび姿で、いななき
勇む伝六を従えながら、それなるご用主の内藤家へ行きついてみると、しかるにこれがな....
「嬌娜」より 著者:田中貢太郎
きないなら、小児を抱いて往ってください、まきぞえにならないように」 孔生は義に
勇む男であった。孔生は、 「死ぬるなら皆でいっしょに死にましょう」 と言って公....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
、悄然《しょんぼり》としたが、悄然《しょんぼり》とする側《そば》から、妙に又気が
勇む。何だか籠のような狭隘《せせこま》しい処から、茫々と広い明るい空のような処へ....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
×の駆逐艦に見つかる 八門の 大砲にねらわれての大離れわざ 勇みに
勇む第十三潜水戦隊は、その日から船脚に鞭うって、東南東の海面へ進撃してゆきました....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
身の上を考えると兵馬にも多少の感慨があります。このたびこそはと思うて、いつも心は
勇むけれども、旅から旅を歩く間にはずいぶん果敢《はか》ない思いをするのです。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
明日持ってあがります」 貸本屋を帰してしまった後で、お雪ちゃんはなんとなく心の
勇むのを覚えました。そして、身に何かの力がついたように思われてきました。 先日....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
す。金主がつけば竜に翼だ、小主公、そろそろ時節到来でござりましょうよ。」と慶造が
勇むに引代え、若山は打悄れて、ありしその人とは思われず。渠は非職海軍大佐某氏の息....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
きたる同行者が必要だが、この社の年寄りは酔っ払うと分別に欠けるところがあり勇みに
勇む悪癖もあって、全然荷物になるだけだ。しかし、年寄に分別がないと、若い者に分別....
「四季とその折々」より 著者:黒島伝治
枯れたような冬の芽の中に既にいま頃から繚乱たる花が用意されているのだと思うと心が
勇む気がする。そして春になると又春の行事が私たちを待っている。....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
将校も海兵隊も開拓者時代の〈野性の叫び声〉に呼びさまされた、西部劇に出てくる義に
勇むカウ・ボーイといったすごい顔をしている。 門柱にもたれて見ていると、すぐ前....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ほっ。 えっさ、えっさ。 えっさっさ。 息杖《いきづえ》がおどる。掛け声は
勇む。往来の人はうしろへ、うしろへと流れてゆく。 家なみの庇《ひさし》や紺暖簾....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
海に落つ。(無念の声をふるわせる。)これぞ敗けいくさの前兆と、味方は愁い……敵は
勇む。わらわも無念に堪えかねて、扇と共に沈まんかと一旦は覚悟したれど、おもい直し....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
帰って来た馬翁がしばらく傍に立って眺めていたが慧鶴の背中を叩いて云った「立つ鳥は
勇むのう」これは望みを持つ人間は努力精励するという褒めた言葉であって、この位でも....