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動かない
「動かない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
動かないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
なって、この大きな建物の中を霧のように蔽《おお》っている。しかし能勢の父親だけは
動かない。この現代と縁のない洋服を着た、この現代と縁のない老人は、めまぐるしく動....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
振って、痛くないと云う意味を示そうとした。所が鼻を踏まれているので思うように首が
動かない。そこで、上眼《うわめ》を使って、弟子の僧の足に皹《あかぎれ》のきれてい....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
じづる》の橋を渡るが早いか、獣《けもの》のように熊笹を潜《くぐ》って、木の葉一つ
動かない森林を、奥へ奥へと分けて行った。星の光、冷かな露、苔《こけ》の※、梟《ふ....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
、永遠なるものに対する※※《しょうけい》が汪然《おうぜん》としてわいてくる。日も
動かない。砂も
動かない。海は――目の前に開いている海も、さながら白昼の寂寞《せき....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
振子《ふりこ》のように揺れていますが、新蔵の前の吊皮だけは、始終じっと一つ所に、
動かないでいるのです。それも始は可笑《おか》しいなくらいな心もちで、深くは気にも....
「或る女」より 著者:有島武郎
たと思うと、事務長の insolent な目つきが低い調子の伴音となって、じっと
動かない中にも力ある震動をしながら、葉子の眼睛《ひとみ》の奥を網膜まで見とおすほ....
「或る女」より 著者:有島武郎
わしい腐敗の中にも一縷《いちる》の期待が潜んでいた。一度ぎゅっとつかみ得たらもう
動かないある物がその中に横たわっているに違いない、そういう期待を心のすみからぬぐ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
にせきたてられて、時々かさっと地に落ちた。天鵞絨《ビロード》のように滑かな空気は
動かないままに彼れをいたわるように押包んだ。荒くれた彼れの神経もそれを感じない訳....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
出した。山脚は海の中に、山頂は雲の中に、山腹は雪の中にもみにもまれながら、決して
動かないものが始めて君たちの前に現われたのだ。それを見つけた時の漁夫たちの心の勇....
「親子」より 著者:有島武郎
うなはめになった自分を見いだしたのだ。まだ見なかった父の一面を見るという好奇心も
動かないではなかった。けれどもこれから展開されるだろう場面の不愉快さを想像するこ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
、やはり太陽の引力によって軌道を定められているはずの彗星が、往々遊星と同方向には
動かないということであった。それでニュートンは(何ら格別の理由はなかったが)遊星....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
を引張っても、いやその手を引くのが不気味なほど、正のものの身投げ按摩で、びくとも
動かないでいる。……と言うのであった。 ――これを云った謙斎は、しかし肝心な事....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
」 良平は年下の二人と一しょに、又トロッコを押し上げにかかった。が、まだ車輪も
動かない内に、突然彼等の後には、誰かの足音が聞え出した。のみならずそれは聞え出し....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
穴のみをうがち、生命をつくりあげている血が流れるのを眺め、それが柔かな、冷たい、
動かない、考えることもしない一塊りの肉にほかならないと思うのは、必ずや不思議な、....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
械というものを身に装った人間に似ていて、頗る人間離れのした恰好の物である。怪しく
動かない物である。言わば内容のない外被である。ある気味の悪い程可笑しい、異様な、....