動顛[語句情報] » 動顛

「動顛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

動顛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
地を取りかえしたのかも知れない。それまでは、私は、あまりの驚愕《きょうがく》に、動顛《どうてん》して、震えることさえ忘却し、ひたすらに逆上し、舌端《ぜったん》火....
「鎮魂歌」より 著者:原民喜
のような速度で進行を繰返している。僕は僕を探す。僕はいた。あそこに……。僕は僕に動顛《どうてん》する。僕は僕に叫ぶ。（虚妄《きょもう》だ。妄想だ。僕はここにいる....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
に処して下され、火の中にたたきこんで下され」 その虫は燠《おき》の上でぷちりと動顛《どうてん》した。 「薩賊《さつぞく》のごときやつでござった」と老人は立ちあ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ない、そうだとすれば大変だ！」 ほとんど為《な》さん術《すべ》を知らないほどに動顛《どうてん》したらしい。 そこで、すっかり、空想も、幻想も、打ちこわされて....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、女の子のする力だから、主膳ほどの者が悲鳴を揚げるほどのことはないはずだが、実は動顛《どうてん》させられてしまったので……こいつは怖いということを知らない、知ら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
また取戻したという形です。 そこへ、今度は、表門から、極度の狼狽《ろうばい》と動顛《どうてん》とを以て、発音もかすれかすれに、 「た、た、た、大変でござります....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に、それに反応して「キャッ」と叫んだまでです。舞子たちは、それと共に重なり合って動顛《どうてん》したけれど、村正のおじさんは結句おもしろがって、 「何か出たか」....
「死者の書」より 著者:折口信夫
と――汗。全身に流れる冷さを覚えた。畏い感情を持ったことのないあて人の姫は、直に動顛した心を、とり直すことが出来た。 のうのう。あみだほとけ……。 今一度口に出....
「魔都」より 著者:久生十蘭
れ毛の、一眼で異国の人と知られる中年の紳士で、この不思議な出来事のためにすっかり動顛してしまったものと見え、片手に東京地図を握りながら、アッケラカンといつまでも....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
屋五造は、色白のおっとりとした丸顔で、田舎の大店の若旦那にふさわしいようす。気も動顛した体で血の気をなくし、差しうつむいてブルブルと顫えている。 顎十郎は、胡....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
名《おつな》の宅へ馳付《はせつ》け、乙名からわたしどもへ知らせがありましたけん、動顛して駈付けて見ましたれば、お種はまだ虫の息で、あッちを殺したのは陳ですけんで....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
しめしあそばせ。」 腰元のもろ声を聞くと、頭から、風呂｜桶を引被せられたように動顛して、傍についた年増を突飛ばすが疾いか――入る時は魂が宙に浮いて、こんなもの....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
来て、これはきっと警官が故と暖炉職人の風体をして来たのであろうと、心は不覚、気は動顛して、いきなり、室を飛出したが、帽も被らず、フロックコートも着ずに、恐怖に駆....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
いいでしょう、きっと来ますね？ エレーナ （ワーニャを見て）放して！ （すっかり動顛して窓のほうへ身をすさらす）ほんとにひどいわ。 ワーニャ （花束を椅子の上に....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
樋のような監視所、その板囲いの隙間から、直下の砂浜を差し覗いた――この驚駭、この動顛、この大畏怖、この寂光。 何とこの無人の、原始の、海獣の渾沌世界の、狂歓の....