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勝手許
「勝手許〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勝手許の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
る日いつもよりは明るい顔で、エミリーの許を訪れた。エミリーはサンノム老人の下宿の
勝手許から、白いエプロンで手を拭きながら出て来た。早くも彼女の手には、ピンク色の....
「蠅男」より 著者:海野十三
な捜査の結果、帆村の云ったとおり、はたして秘密倉庫が地下に発見せられた。それは、
勝手許の食器棚のうしろに作られていたもので、ボタン一つで、自由にあけたてできるよ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
奉公に慣れた者を若党に致しましたので、また男ばかりでは不自由だから、何ぞ手許使や
勝手許を働く者がなければなりませんから、方々へ周旋を頼んで置きますと、渡邊織江の....
「生あらば」より 著者:豊島与志雄
では一寸行って参りましょう。」 看護婦が出て行った後、病室は静かに澱んできた。
勝手許で用をしている小母《おば》さんの物音が間を置いてははっきり聞えるようだった....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
田原さんはその答えをきいて、軽く頭を横に傾げた。それから冷たい水で顔を洗うために
勝手許へ行った。 水で顔を洗い、それから頭まで洗ってみると、田原さんは先刻の感....
「掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
側はもう綺麗に拭掃除がしてあり、庭と門口とには水が撒いてあり、少しの夕餉の仕度は
勝手許に出来つつあった。不当な収入のある買収された一人の女中は、まめまめしく立ち....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
った。そして力強くなった。 翌日の午後、彼は金を返しに保子を訪れた。 保子は
勝手許《かってもと》の方で何か仕事をしていた。一寸手が離せないからというので、彼....
「神棚」より 著者:豊島与志雄
《ひらき》には締りがしてなかった。俺達は泥坊のようにそっと忍び込んだ。つき当りの
勝手許まで辿りついて、其処に身を潜めた。中では何かことことと用をしてるらしかった....
「変る」より 著者:豊島与志雄
下を通って、青布の暖簾の彼方へ消えた。暖簾の向うは、広い板の間で、相当な料理屋の
勝手許になっていて、この酒場はつまり、その料理屋の宣伝機関の一つなのである。それ....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
べると海を渡って佐渡までとどいて島を七巻きするそうだという話である。代々の殿様は
勝手許不如意の時には代々の団右衛門から金をかりる。決して返すことがないが、借金と....
「おせん」より 著者:邦枝完二
、我れとわが袖を濡らした不覚の涙に、おせんは「はッ」として首を上げたが、どうやら
勝手許の母の耳へは這入らなかったものか、まだ抜け切らぬ風邪の咳が二つ三つ、続けざ....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
夕な、やれほうれん草はどうか、葱だ、にんじんだ、牛蒡だ、といった風に、人々が私の
勝手許へ提げ込んできてくれる。殊に、馬鈴薯や里芋などの到来したときの嬉しさ、あり....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
にいささか拍子抜けがしたのであろう。しばし口の中で、何かぶつぶつ呟くと、立って、
勝手許にいるおつね婆のほうへ出かけて行った。 「おつねさん。師匠はまだ、なかなか....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
す。 「待って頂戴。」 お縫は自らおのが身を待たして、蓋を引いたままじっとして
勝手許に閉っている一枚の障子を、その情の深い目で瞶めたのである。 ....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
工具の領域を見ますと、京都出来のもので心を惹くのは「水屋」と呼ぶ置戸棚で、好んで
勝手許で用います。形に他にない特色があり、洋式の模倣品よりどんなによいか知れませ....