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募る
「募る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
募るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
失望とでいらいらしながら夜を迎えねばならなかった。木部の葉子に対する愛着が募れば
募るほど、葉子は一生が暗くなりまさるように思った。こうして死ぬために生まれて来た....
「或る女」より 著者:有島武郎
点の打ちどころのないような健康の意識はその後葉子にはもう帰って来なかった。寒気が
募るにつれて下腹部が鈍痛を覚えるばかりでなく、腰の後ろのほうに冷たい石でも釣《つ....
「星座」より 著者:有島武郎
とや、純次がますます物わかりが悪くなって、親を睨《にら》めかえすしぶとさばかりが
募るということや、孵化場《ふかじょう》の所長が代ると経費が節減されて、店の方の実....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
座敷へ予を案内した。予は意外な所へ引張り込まれて、落つきかねた心の不安が一層強く
募る。尻の据《すわ》りが頗《すこぶ》る悪い。見れば食器を入れた棚など手近にある。....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
む波濤と戦いながら配縄をたくし上げにかかったけれども、吹き始めた暴風は一秒ごとに
募るばかりで、船頭はやむなく配縄を切って捨てさせなければならなくなった。 「また....
「地中魔」より 著者:海野十三
ぐ地中に潜ることにしよう」と総監は決心の色をアリアリと浮かべた。 決死隊を
募る 「さア、岩と地中で戦おうという勇士はいないかア。決死隊に加わろうという偉い....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
を嗅がせて正気づかせる外はないのです。 ざっと一月半入院したが、病勢は日に日に
募る。しかも力が強くなって、伸しかかって胸を圧える看護婦に助手なんぞ、一所に両方....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
着すべきところに、まっしぐらに飛びかかって行った。飛びかかり飛びすさりしながら、
募る恨みと憎しみに、二人は腕を張り切らせて遮二無二相手に投げ付けた。――これでも....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
錨を下した。蒔蔵の故郷豊橋へはもう近い。 しかし、彼が木屋町の女に対する恋情は
募るばかりだった。それより淡路の海へ落した銀の簪が惜しくてならなくなった。彼が着....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
大統領は魯か文部の長官にだって選ばれそうもない。ダンヌンチオも日本だったら義兵を
募る事も軍資を作る事も決して出来なかったろう。西洋では詩人や小説家の国務大臣や商....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、言い出したからは、血を絞っても取らねば帰らぬ。きりきりここへ出しなさい。と言い
募るに得三は赫として、「ここな、没分暁漢。無い者ア仕方がねえ。と足を出せば、「踏....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
に直訴することを得るなり。 ローマ宗にては近代、本山より各末寺に税を課して金を
募ることなし。しかして、各末寺より信徒の喜捨金を集め、これを法王の下に献納するこ....
「越年」より 著者:岡本かの子
ありませんか、あんまりじゃありませんか」 そういう鬱憤の言葉を繰返し繰返し言い
募ることによって、加奈江は激情を弾ませて行って 「あなたが撲ったから、私も撲り返....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
軍士官学校を二回、海軍兵学校を一回受けたが、いずれも落第してしまった。早大志望は
募るばかりで、同年九月第二学期から編入試験を受けて、早稲田大学に入った。もちろん....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
、いろいろのことに怒ることです。他人のことに口惜しがり、また決して許すまじと思い
募る激情です。痴というのは馬鹿のことです。私たちの心の最奥には仏智見と言って完全....