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勤め先
「勤め先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勤め先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
が三月の二十何日か、生暖《なまあたたか》い曇天の午後のことである。保吉はその日も
勤め先から四時二十分着の上り列車に乗った。何でもかすかな記憶によれば、調べ仕事に....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
たね子は夫《おっと》の先輩に当るある実業家の令嬢の結婚|披露式《ひろうしき》の通知を貰った時、ちょうど
勤め先へ出かかった夫にこう熱心に話しかけた。
「あたしも出なければ悪いでしょうか....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
を述べると極めて平凡なものであった。主人は大学を出ると美術工芸学校やその他二三の
勤め先が出来た上、類の少ない学問筋なので何やかや世間から相談をかけられることも多....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
新宿甲州屋の抱え女お若で、ままならぬ恋の果ては死神《しにがみ》に誘われて、お若は
勤め先をぬけ出した。二人はこの権田原の榛の木の下を死に場所と定めて、闇にまぎれて....
「俘囚」より 著者:海野十三
行って来るからネ」 松永は、実直な銀行員だった。永遠の幸福を思えば、彼を素直に
勤め先へ離してやるより外はない。 「じゃ、いってらっしゃい。夕方には、早く帰って....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
もまだ知らないと見えて、みんな平気でいました。近いようでも田舎ですね」 「お磯の
勤め先は吉原のどこだ」 「それがよく判らねえので……」と、亀吉は首をかしげながら....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ていた。それは一日のうちに睡眠を三回に分けて摂ることだった。午睡三十分――これは
勤め先の応接室を内側からロックして、安楽椅子の上で睡る。それから夕刻帰宅して食事....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
たしはあれが、どうせ主人のようにはなれませんでも、わたくしは何とかしてあの子を、
勤め先のはっきりした会社員か何かにして、素性のいい嫁を貰って身を固めさしてやり度....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
の性行調査を行った。安東の止宿しているアパートのおばさんをはじめ、その友人たち、
勤め先の上役と下僚、それから彼の加入しているロザリ倶楽部の給仕や給仕頭や預所の婦....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
と思った外に、別に気に留めなかった。だが今となっては、帆村の指摘する通り、彼女の
勤め先が「缶詰工場」であることは非常に重大なる意義があるのだ。 「だから、佐々さ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
だった。 その揚句、八十助と鼠谷とは一つのうまい方法を考えた。そのころ二人とも
勤め先が決っていて、八十助は丸の内の保険会社に、鼠谷の方は築地の或る化粧品会社へ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
口には、杜の名をボール函の真に書いて表札のつもりで貼り出した。名前の横には、彼の
勤め先である商会の名も入れて置くことを忘れなかった。 こうして、どうやら恰好の....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
束が取りかわされていて、卒業すると間もなく東京で結婚式をあげて、すぐにそのかたの
勤め先きへ一緒に連れてゆかれることになったのでございます。 わたくしは三津子さ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
僕等は並んで腰をおろし、いろいろのことを話していた。T君はついこの春に巴里にある
勤め先から東京へ帰ったばかりだった。従って僕等の間には巴里の話も出勝ちだった。カ....
「あの世から便りをする話」より 著者:海野十三
この電波を止めて戴きたい」と言うのです。 これは一種の病人でありまして、その頃
勤め先の役所へも、度々そういう投書が来ました。私の所へ来る電波は、こちらから見て....