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勾配
「勾配〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勾配の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
》から下をのぞいて見た。両側に桜並み木のずっとならんだ紅葉坂《もみじざか》は急|
勾配《こうばい》をなして海岸のほうに傾いている、そこを倉地の紺羅紗《こんらしゃ》....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ていた。道がへし折られたように曲って、その先きは、真闇《まっくら》な窪地に、急な
勾配《こうばい》を取って下っていた。彼らはその突角《とっかく》まで行ってまた立停....
「星座」より 著者:有島武郎
真で見る米国の自由の鐘のように下の方でなぞえに裾を拡げている。その拡がり方といい
勾配《こうばい》の曲線の具合といい、並々の匠人の手で鋳られたものでないことをその....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
は無し、私は何にも思わなかったんだが、極って腕車から下りる処さ、坂の上で。あの急
勾配だから。 下りるとね、車夫はたった今乗せたばかりの処だろう、空車の気前を見....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
バアの扉を無雑作に開くと、ツカツカと奥へ通り、そこに二階に向ってかけられた狭い急
勾配の梯子段の下に靴をぬぎとばすと、スルスルと昇って行った。二階は真暗であった。....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
天文台だ」 と相良が低く叫んだ。私達は黙っていた。 自動車が庁舎の前のゆるい
勾配を一気に駈け上ると、根賀地が第一番に広場の砂利の上に降り立った。入口にピタリ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ないそのポーチに小さく貸間ありと紙札が貼ってあった。ポーチから奥へ抜けている少し
勾配のある通路の突き当りに水も覗いていた。私はよくも見つけ当てたというよりは、何....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の、何の、ぼろぼろと朽木のようにその満月が崩れると、葉末の露と一つになって、棟の
勾配を辷り落ちて、消えたは可いが、ぽたりぽたり雫がし出した。頸と言わず、肩と言わ....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
の方角に進むことおよそ二町ばかりにて、山尽きて、谷となる。ここ嶮峻なる絶壁にて、
勾配の急なることあたかも一帯の壁に似たり、松杉を以て点綴せる山間の谷なれば、緑樹....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
へ来たのだと云う。……神楽坂は引上げたが、見る間に深くなる雪に、もう郵便局の急な
勾配で呼吸ついて、我慢にも動いてくれない。仕方なしに、あれから路の無い雪を分けて....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
研形に崩込んで、人足の絶えた草は、横ざまに生え繁って、真直に杖ついた洋傘と、路の
勾配との間に、ほとんど余地のないばかり、蔦蔓も葉の裏を見上げるように這懸る。 ....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
れながら、そろそろ線路を登って行った。 その内にかれこれ十|間程来ると、線路の
勾配が急になり出した。トロッコも三人の力では、いくら押しても動かなくなった。どう....
「初雪」より 著者:秋田滋
底がぬけでもしたように、来る日も来る日も、雨が、空に向って刄のように立っている、
勾配の急な、大きな屋根のスレートのうえに降りつづけた。道という道は泥河のようにな....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
たとき、彼の心は完全に圧倒されてしまった。ひろびろとした家で、棟は高いが、屋根の
勾配はゆるやかで、その建築様式は初期のオランダの移住民から伝えられているものだっ....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
、そして極めて危険なものだ。僅か一坪の平地すらないこの辺の地勢から考えても、その
勾配の急なことが知れよう。 ここは村から一番奥の焼畑で、あまりに離れているので....