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勿怪
「勿怪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勿怪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。 喜平らの探検を恐れて、かの女が姿をかくしてしまったのは、勝次郎にとっては
勿怪《もっけ》の幸いというべきで、かれは先ずほっとした。近所の清元の師匠におみよ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
どもに媚《こび》を売るのが彼等のならわしであった。ここで提重のお六に出逢ったのは
勿怪《もっけ》の幸いだと思ったので、半七は摺り寄って小声で訊いた。 「お前、この....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
して伝兵衛の死骸を運び出すことにした。そうした秘密の処置を取るには、暗い夜更けが
勿怪《もっけ》の仕合わせであった。 これで先ず死骸の始末は付いたが、長八の一存....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
麻疹《はしか》に取りつかれて三日ばかりで死にました。お角にとっては、麻疹の流行が
勿怪《もっけ》の幸いであったかも知れません。例の彫り物の写真はヘンリーの方でも要....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
角でした。お角もあんな騒ぎになろうとは思わなかったんでしょうが、なにしろ、それが
勿怪《もっけ》の仕合わせで、これもどさくさ騒ぎにまぎれて其の場を立ち去る途中、西....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れは人に覚られないのを幸いに自分の家に逃げて帰った。偶然に思いついた松葉いぶしが
勿怪《もっけ》の仕合わせで、世間ではそれを狐の祟りと信じているらしいので、彼女は....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たように、しばらく黙って突っ立っていました。なにしろ、客の来ているのは私に取って
勿怪の幸いで、それをしおに早々に帰って来ました」 「ふうむ。そんなことがあったの....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で、一旦は気が遠くなったが他に別条もなかったのである。刃物で顔でも斬られないのが
勿怪の仕合わせであったと人々は喜んだ。こうなると、娘ひとりで帰らせるのは何分にも....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れたのであろう、片足を水にひたして息が絶えていた。杭に挟まれたのがこっちに取って
勿怪の幸いで、さもなければ下流の方へ遠く押し流されてしまったかも知れなかった。 ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
夫はないかと、お互いに悪事を考えている矢さきに、富士裏の怪談のうわさが立ったのが
勿怪の幸い、師匠の左内に取っては飛んだ災難でした」 「そうすると、喜平次と伊太郎....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
まあ、嬉しいじゃないか、よく、お前、お嬢さんの年なんか知っていたね、と云うと、
勿怪な顔をして、いいえ、誰方のお年も存じません。お蔦は腑に落ちない容子をして、売....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
よほど違っている。そこで何日かそのお大と不義を働くようになった。幾次郎に取っては
勿怪の幸い、せいぜい女房の御機嫌を取って清七放逐の計略をめぐらしたが、あいにく清....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
しまったのである。ほんとうの海馬があたかもそこへ現れて来たのは、彼にとっては実に
勿怪の幸いともいうべきであった。 こうして世間の眼を晦まして、彼は老いたる情婦....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、足を引摺るようにして密と紋床へ這戻り、お懶惰さんの親方が、内を明けて居ないのを
勿怪の幸、お婆さんは就寝てなり、姐さんは優しいから、いたわってくれた焼酎を塗って....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
……。そこへ出ッ食した冬子さんは、実に運が悪かったのだ。それでも怪我を為ないのが
勿怪の幸で、大事の顔へ疵でも付けられようものなら、取返しが付きゃアしない。何しろ....