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匆
「匆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
匆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な索漠《さくばく》さを感じて、
匆々《そうそう》竜華寺の門をあとにした。爾来《じらい》今日《こんにち》に至っても....
「或る女」より 著者:有島武郎
や》にも伺いに来ないでなれなれしく言葉をかけるその仕打ちにまで不快を感じながら、
匆々《そうそう》三階に引き上げた。
それからはもうほんとうになんにもする事がな....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
行って貰《もら》った。念の為め主人と私の関係を話して置くと、私の父は幼時に維新の
匆騒《そうそう》を越えて来たアマチュアの有職故実《ゆうそくこじつ》家であったが、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
夜の市長」に似ているかどうかを俄かに判じかねたのだった。 ほうほうの態で、僕は
匆々市庁を飛びだした。 これは全く大変な失敗をやったものだった。これが問題にな....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
ら、睡眠も思ったより貪り過ぎたためか、妙に今朝の寝醒めはどんよりとしていたので、
匆々タオルと石鹸を持って飛び込んで来たのだった。 めっきり、暖い午前なので、浴....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
――なんでもないのよ」 笛吹川画伯頓死事件は、こうして片付きました。夜に入ると
匆々、画伯の屍体は、寝台車に移し、赤耀館からは四里も先にある、隅田村の画伯の辺居....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
でも※きたくなる天気だったが、忌でも応でも約束した原稿期日が迫ってるので、朝飯も
匆々に机に対った処へ、電報! 丸善から来た。朝っぱらから何の用事かと封を切って....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。義作君はたった今、その馬が放れました一件で。」 「実は何でございます、飛んだ疎
匆をいたしやして、へい。ねえ、お道どん、こういう訳なんだ、実は、」 「はあ、そり....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
すこには、何とかいう印度人の婆さんが住んでいます」と、気味悪そうに返事をすると、
匆々行きそうにするのです。 「まあ、待ってくれ。そうしてその婆さんは、何を商売に....
「滝田哲太郎君」より 著者:芥川竜之介
僕にこういった。 滝田君についてはこの外に語りたいこともない訳ではない。しかし
匆卒の間にも語ることの出来るのはこれだけである。....
「瘠我慢の説」より 著者:榎本武揚
御本人に於て云々の御説もあらば拝承致し度、何卒御漏し奉願候。要用のみ重て申上候。
匆々頓首。 二月五日諭吉 …………様 尚以彼の草稿は極秘に致し置、今....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
だ大人しくなさいよ、さ、大人しくしろが可うございましょう。 無暗とお礼を謂って
匆々に山の井さんの前を抜けて、玄関へ参りますとね、入る時にゃあ気がつきませんでし....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
水垢離を取って、裸体のまま表通まで駆け出すこともあった、天理教信心の婆々の内の麁
匆火であった事と。 それから、数万の人ごみ、軍のような火事場の中を、どこを飛ん....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
と限った事もありませんが、マア闇い時の方が多いようですね、ツマリ闇いから其様な疎
匆をするのでしょうよ」と澄している。けれども、それは闇い為ばかりでない、確に他に....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
はその運命が決定した。独軍の包囲圏は刻々縮小せられ、形勢非なるを見てとった英軍は
匆々本国への退却を開始した。この情況を見たベルギー皇帝は五月二十八日無条件で独軍....