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「匆々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

匆々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
すこには、何とかいう印度人の婆さんが住んでいます」と、気味悪そうに返事をすると、匆々行きそうにするのです。 「まあ、待ってくれ。そうしてその婆さんは、何を商売に....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な索漠《さくばく》さを感じて、匆々《そうそう》竜華寺の門をあとにした。爾来《じらい》今日《こんにち》に至っても....
或る女」より 著者:有島武郎
や》にも伺いに来ないでなれなれしく言葉をかけるその仕打ちにまで不快を感じながら、匆々《そうそう》三階に引き上げた。 それからはもうほんとうになんにもする事がな....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
はその運命が決定した。独軍の包囲圏は刻々縮小せられ、形勢非なるを見てとった英軍は匆々本国への退却を開始した。この情況を見たベルギー皇帝は五月二十八日無条件で独軍....
三枚続」より 著者:泉鏡花
だ大人しくなさいよ、さ、大人しくしろが可うございましょう。 無暗とお礼を謂って匆々に山の井さんの前を抜けて、玄関へ参りますとね、入る時にゃあ気がつきませんでし....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
でも※きたくなる天気だったが、忌でも応でも約束した原稿期日が迫ってるので、朝飯も匆々に机に対った処へ、電報! 丸善から来た。朝っぱらから何の用事かと封を切って....
深夜の市長」より 著者:海野十三
夜の市長」に似ているかどうかを俄かに判じかねたのだった。 ほうほうの態で、僕は匆々市庁を飛びだした。 これは全く大変な失敗をやったものだった。これが問題にな....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
――なんでもないのよ」 笛吹川画伯頓死事件は、こうして片付きました。夜に入ると匆々、画伯の屍体は、寝台車に移し、赤耀館からは四里も先にある、隅田村の画伯の辺居....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
ら、睡眠も思ったより貪り過ぎたためか、妙に今朝の寝醒めはどんよりとしていたので、匆々タオルと石鹸を持って飛び込んで来たのだった。 めっきり、暖い午前なので、浴....
瘠我慢の説」より 著者:榎本武揚
御本人に於て云々の御説もあらば拝承致し度、何卒御漏し奉願候。要用のみ重て申上候。匆々頓首。 二月五日諭吉 …………様 尚以彼の草稿は極秘に致し置、今....
交尾」より 著者:梶井基次郎
見て大きい声を立てて注意をされたりするとなおのこと不名誉なので、彼がやって来ると匆々《そうそう》家のなかへはいってしまうのである。しかし今夜は私は猫がどうするか....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
青楓氏、夫人、令嬢、それから私、この四人が炬燵の四方に座を占めた。 私は出獄|匆々にも銀座の竹葉亭で青楓氏の饗応を受けたりしているが、その家庭で馳走になるのは....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
出ない。いったい、北海道の旅館は悠長だとはきいたが、これには驚いた。 上陸する匆々から一人でぽつんと膳に向うのは寂しいものだ。ビフテーキの堅いことがまた切れる....
春泥」より 著者:久保田万太郎
るだけ、ことによると竹箆返しに、大きに春は名古屋へでもやられるかも知れない。春|匆々しかし地方は有難くない。――そうした、ぞんきな、一※すじな料簡をもつことにお....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
遮らんとす、余はむッとばかりに憤しかども目科は眼にて余を叱り、二言と返させずして匆々倉子に分れを告げ、余を引摺らぬばかりにして此家を起立たり。 「君は心を失ッた....