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北風
「北風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
北風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
気もしたのに違いなかった。しかし力を出すだけでも助かる気もしたのに違いなかった。
北風は長い坂の上から時々まっ直《すぐ》に吹き下ろして来た。墓地の樹木もその度にさ....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
堅くなりたること、路傍《みちばた》にすくすくと立ち併《なら》べる枯れ柳の、一陣の
北風に颯《さ》と音していっせいに南に靡《なび》くこと、はるかあなたにぬっくと立て....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
りと吹いて来る)と田越村一番の若衆が、泣声を立てる、大根の煮える、富士おろし、西
北風の烈しい夕暮に、いそがしいのと、寒いのに、向うみずに、がたりと、門の戸をしめ....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
ないから、節句は四月にしたらしい。冬籠の窓が開いて、軒、廂の雪がこいが除れると、
北風に轟々と鳴通した荒海の浪の響も、春風の音にかわって、梅、桜、椿、山吹、桃も李....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
るなつかしい季節の一つだ。この季節になると長く地の上を領していた冬が老いる。――
北風も、雪も、囲炉裏も、綿入れも、雪鞋も、等しく老いる。一片の雲のたたずまいにも....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
く星の数々も共に。 (注一) 天の神で風の神々の父。 (注二) 西風。 (注三)
北風。 (注四) 南風。 (注五) 暁の明星―金星(venus)。 『日々行事』....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
の二三年と申しとうござりまするが、どうでござりましょうぞ。五月も半ば、と申すに、
北風のこう烈しい事は、十年|以来にも、ついぞ覚えませぬ。いくら雪国でも、貴下様、....
「河明り」より 著者:岡本かの子
、欄干の籐椅子で、まだビールのコップを離さず、酔いに舌甜めずりをしていた。 「東
北風を斜に受けながら、北流する海潮を乗り越えつつ、今や木下君の船は刻々馬来半島の....
「露肆」より 著者:泉鏡花
有触れたが、長外套に茶の中折、髭の生えた立派なのが居る。 辻に黒山を築いた、が
北風の通す、寒い背後から藪を押分けるように、杖で背伸びをして、 「踊っとるは誰じ....
「些細な事件」より 著者:井上紅梅
癖の中から引放し、今に至っても忘れることの出来ないものである。 民国六年の冬、
北風が猛烈に吹きまくった。その頃わたしは仕事の都合で毎朝早く往来を歩かなければな....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
つっけんどんなもの謂で、 「何だ、」 「はい、もしお寒いこッてござります。」 「
北風のせいだな、こちとらの知ったこッちゃあねえよ。」 「へへへへへ、」と鼻の尖で....
「西航日録」より 著者:井上円了
勢いなり。これに加うるに、北海の高浪巌石を打ち、激して泡となり、飛んで雪となり、
北風これを吹きて片々空中に舞わしむ。あたかも綿片の天空に散ずるがごとし。また奇景....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
三日(神武天皇祭)、雨終日やまず、かつ寒し。わが軍艦五隻入港す。 四日、晴れ。
北風強くして冬のごとし。午後四時抜錨す。内海の風光を夢裏に看過して門司に向かう。....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
っと浮かびあがってくるんだ。これにはまったくへいこうしたね。ぼくは身をきるような
北風が、雪といっしょに吹きつけてくる道を、あてどもなくさまよいつづけたんだ」 「....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
らない事ッちゃないんだ。人一人の生命だ。冗談じゃない」 雨は小降りになったが、
北風が少し寒かった。本庄は先に立って大跨で飛ぶように歩いた。 アパートの階段を....