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匙
「匙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
匙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
そっくり君に持って貰《もら》うぜ。」
飯沼は大きい魚翅《イウツウ》の鉢へ、銀の
匙《さじ》を突きこみながら、隣にいる和田をふり返った。
「莫迦《ばか》な。あの女....
「河童」より 著者:芥川竜之介
よ、僕には全然新しい世界を、――広い世界をのぞかせました。ゲエルは、いつも純金の
匙《さじ》に珈琲《カッフェ》の茶碗《ちゃわん》をかきまわしながら、快活にいろいろ....
「或る女」より 著者:有島武郎
うにひどく青味がかって見えた。小さな不安が葉子の頭をつきぬけた。葉子は清潔な銀の
匙《さじ》に少しばかりソップをしゃくい上げて貞世の口もとにあてがった。
「まずい....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ちまち犯すべからざる者になったから、私《わし》は口をつぐむと、婦人《おんな》は、
匙《さじ》を投げて衣《きもの》の塵《ちり》を払うている馬の前足の下に小さな親仁《....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
こう自分ではいったけれど、知覚精神を失った最後の数時間までも、薬餌をしたしんだ。
匙であてがう薬液を、よく唇に受けてじゅうぶんに引くのであった。人間は息のとまるま....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
帆村は隅から一つずつ、その小さい壜を下すと、蓋のあるものは蓋をとり、中身を小さい
匙の上に掬いとってみたり、天秤の上に白紙を置いてその上に壜の内容全部をとりだして....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
断念したよ。おれには科学は苦手さ。君に万事を頼む」と、いつになく白木は、あっさり
匙をなげて、窓のところへいった。 「頼まれても困るが……」 「おい、また敗戦主義....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
って、北国の山の中、医者らしい医者もない。まあまあその頃、土地第一という先生まで
匙を投げてしまいました。打明けて、父が私たちに聞かせるわけのものじゃない。母様は....
「共軛回転弾」より 著者:海野十三
者のアインシュタインがいるじゃないか。あの男に相談してみた方が早いよ。なに、彼も
匙をなげて自殺したと。莫迦な奴……とにかくわしに責任はないよ。君の特使が申出たと....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
ーヒーをついで、自分の椅子の方に引寄せた。そして角砂糖を一つ入れると、がらがらと
匙でかきまわして、うまそうにのんだ。 「どうぞ、遠慮しないで……」 道夫はすす....
「怪塔王」より 著者:海野十三
れもそうですね。これはどうも訳がわからないことになった」 お巡りさんもとうとう
匙をなげだしてしまいました。 そのうちに、空の一方から飛行機の爆音が聞えてきた....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
声は慄えを帯びていました。 「さア、私にはサッパリ見当がつかん」 警部も、今は
匙を投げてしまいました。それから沈黙の数分が過ぎてゆきました。その間というものは....
「○○獣」より 著者:海野十三
」という標題があるかと思うと、他の新聞にはまた、「科学的怪談! 蟹寺博士もついに
匙を投げる。人類科学力の敗北!」 などと、大々的な文字がならべてあった。 敬....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
出来とるで。」 欠茶碗にもりつけた麦こがしを、しきりに前刻から、たばせた。が、
匙は附木の燃さしである。 「ええ塩梅だ。さあ、やらっせえ、さ。」 掻い候え、と....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
見える煩い方。 肺病のある上へ、驚いたがきっかけとなって心臓を痛めたと、医者が
匙を投げてから内証は証文を巻いた、但し身附の衣類諸道具は編笠一蓋と名づけてこれを....