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十万億土
「十万億土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十万億土の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
袖《そで》で包んだ、交野《かたの》の平六が顔を出して、
「おばばか。おばばはもう
十万億土へ行ってしもうた。おおかた蓮《はちす》の上でな、おぬしの来るのを、待ち焦....
「八十八夜」より 著者:太宰治
。私は、見られて、みんごと糞《くそ》リアリズムになっちゃった。笑いごとじゃない。
十万億土、奈落《ならく》の底まで私は落ちた。洗っても、洗っても、私は、断じて昔の....
「花火」より 著者:太宰治
。母は当惑するばかりである。いまはもう、いっそ、母のほうで、そのチベットとやらの
十万億土へ行ってしまいたい気持である。どのように言ってみても、勝治は初志をひるが....
「日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
手ずから火口壁の赭褐《しゃかつ》色なる大塊を握《つか》むべきである、そこに地心の
十万億土から迸発《ほうはつ》した、赤焼のした、しかしながら今は凝固した、冷たい胆....
「草枕」より 著者:夏目漱石
いた様子を見ると、世の中に不思議と云うものの潜《ひそ》む余地はなさそうだ。神秘は
十万億土《じゅうまんおくど》へ帰って、三途《さんず》の川《かわ》の向側《むこうが....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
口の締りをしろ! 今夜てエ今夜こそは、一人残らず、不知火燃ゆる西の海へ……イヤ、
十万億土へ送りこんでくれるからナ」 ケタケタと響くような、一種異様な笑い声をた....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
わしが見て来た地獄というのは。ソンナ地獄と品事かわって。鉦を叩かず、念仏唱えず。
十万億土の汽車賃使わず。そんじょそこらに幾らもあります。生きたながらのこの世の地....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
時間では有ったが、非常に長い時間のように思われて、女は其の無言無物の寂寞の苦に、
十万億土を通るというのは斯様いうものででもあるかと苦んでいたので、今、「コレ」と....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ある。死んだ人であれば悲しい中にも、時間があきらめを教えるのであるが、これは遠い
十万億土ではないが、いつ帰るとも定めて思えない別れをしているのであるのを夫人はつ....
「葉桜と魔笛」より 著者:太宰治
い、私は、身悶えしながら歩きました。どおん、どおん、と春の土の底の底から、まるで
十万億土から響いて来るように、幽かな、けれども、おそろしく幅のひろい、まるで地獄....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
したんですって。」 「なあんだ。旅に出た者は、帰って来るにきまってるじゃないか。
十万億土の旅じゃあるまいし、それで、どうしたんだい。」 「それだけよ。」 「呆れ....
「墓」より 著者:正岡子規
の空気はたしかに死んでるに違いない。ヤ音がするゴーというのは汽車のようだがこれが
十万億土を横貫したという汽車かも知れない。それなら時々地獄極楽を見物にいって気晴....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
いるのじゃもののう」 「そういやあ、ばくろ町も日本橋のうち、大工町も日本橋の内、
十万億土ほど遠くはねえ」 ばばは、すっくと立って、袋戸棚の中をのぞきこみ、かね....