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十二時
「十二時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十二時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
よいよ弔辞に対する忌《いま》いましさを感じ出した。
この時大きい柱時計の静かに
十二時半を報じたのは云わばニュウトンの足もとへ林檎《りんご》の落ちたのも同じこと....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
抱えていた牧野は、滅多《めった》に泊って行かなかった。枕もとに置いた時計の針が、
十二時近くなったのを見ると、彼はすぐにメリヤスの襯衣《シャツ》へ、太い腕を通し始....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
た伯母はバケツの雑巾《ぞうきん》を絞りながら、多少僕にからかうように「お前、もう
十二時ですよ」と言った。成程
十二時に違いなかった。廊下を抜けた茶の間にはいつか古....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
字軒の主人の話によれば、隣《となり》の煙草屋の上《かみ》さんが一人、当夜かれこれ
十二時頃に共同風呂へはいりに行きました。この煙草屋の上さんは血の道か何かだったも....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
でも店の二階の蒲団《ふとん》に、慎太郎《しんたろう》が体を横たえたのは、その夜の
十二時近くだった。彼は叔母の言葉通り、実際旅疲れを感じていた。が、いよいよ電燈を....
「路上」より 著者:芥川竜之介
に引いてあった。そうしてそれが時の移ると共に、次第に頁から頁へ移って行った。……
十二時半、一時、一時二十分――書庫の上の時計の針は、休みなく確かに動いて行った。....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
んせいかん》の我我に与えた教訓もこう云うことではなかったであろうか?
夜はもう
十二時を過ぎたらしい。星も相不変《あいかわらず》頭の上に涼しい光を放っている。さ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
つ辻の近くに、大時計が一つございます。私は電車を下りる時に、ふとその時計の針が、
十二時十五分を指していたのに気がつきました。その時の私には、大時計の白い盤が、雪....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
じゃ別段その女は人を嚇《おど》かす気で来ていたんじゃないの?」
「ええ、ただ毎晩
十二時前後にながらみ取りの墓の前へ来ちゃ、ぼんやり立っていただけなんです。」
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
切って、「しょうちいたしました」と云う返事を泰さんに渡しました。ところがその晩の
十二時に、例のごとくあの婆が竪川の水に浸った後で、いよいよ婆娑羅《ばさら》の神を....
「或る女」より 著者:有島武郎
いるのを恐れるように足早にその前を通りぬけた。
停車場前はすぐそこだった。もう
十二時近い秋の日ははなやかに照り満ちて、思ったより数多い群衆が運河にかけ渡したい....
「星座」より 著者:有島武郎
――の多くは死人の眼のように暗かったが、東の端《はず》れの三つだけは光っていた。
十二時少し前に、星野の部屋の戸がたてられて灯が消えた。間もなく西山と柿江とのいる....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
毛をよだてながら正気になった。 鋭い音響は目の下の海産物製造会社の汽笛だった。
十二時の交代時間になっていたのだ。遠い山のほうからその汽笛の音はかすかに反響にな....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
子はまっ黒な婆さんの顔へ、悲しそうな眼を挙げました。 「今夜ですか?」 「今夜の
十二時。好いかえ? 忘れちゃいけないよ」 印度人の婆さんは、脅すように指を挙げ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
予が未だ涼み居るを瞥視して過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば
十二時なり。これより行人稀となりて両岸の火も消え漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水....