十五の春[語句情報] » 十五の春

「十五の春〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

十五の春の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
り問うた。 葉子はふと心の目を開いた。そしてその心はそれ以来峰から峰を飛んだ。十五の春には葉子はもう十も年上な立派な恋人を持っていた。葉子はその青年を思うさま....
運命論者」より 著者:国木田独歩
五 井上博士は横浜にも一ヶ所事務所を持《もっ》て居ましたが、僕は二十五の春、此《この》事務所に詰めることとなり、名は井上の部下であっても其《その》....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
たお時に取っては此の上もない有難いことのように思われていた。 ことしは外記が二十五の春である。もうそろそろ奥様のお噂でもあることかと、お時はことしの御年始にあ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ある関係から、行儀見習いのために其の屋敷へ奉公に上げることになった。それはお信が十五の春で、あしかけ七年を無事に勤めて、彼女も今年は二十一になる。去年あたりから....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った。 「次兵衛は現在の兄を追い出して、家督を乗っ取った奴だ。その上に、兄の娘を十五の春から十九の秋まで無給金同様に追い使って、挙げ句の果てに殺してしまって、老....
緑衣人伝」より 著者:田中貢太郎
でございます、もと臨安の良家に生れた者でございますが、少さい時から囲碁が上手で、十五の春、棊童ということで、秋壑の邸に召し出されて、秋壑が朝廷からさがって、半閑....
縮図」より 著者:徳田秋声
た。 三つの時|孤児になり、庄屋であった本家に引き取られた銀子の母親も、いつか十五の春を迎え、子供の手に余る野良仕事もさせられれば、織機台にも乗せられ、同じ年....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の魂の脱けた生きた骸……丁度蝕まれた花の蕾のしぼむように、次第に元気を失って、二十五の春に、さびしくポタリと地面に落ちて了ったのです。あなたの生涯も随分つらい一....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
二 朝夕に、腰を撫で、肩をもんであげた祖母は、八十八歳であたしの十五の春に死んだ。あたしを一番愛していたが、厳しいしつけでもあった。一ツ身を縫う....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
て、つい細々と語りたくて……。 さて、私が西横堀の瀬戸物屋へ丁稚奉公したのは、十五の春のことでした。そこは俗にいう瀬戸物町で、高麗橋通りに架った筋違橋のたもと....
女難」より 著者:国木田独歩
ら、村の小学校に出してもらって月五円の給料を受けていました。祖母の亡くなったのは十五の春、母はその秋に亡くなりましたから私は急に孤児になってしまい、ついに叔母の....
天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
して一を聞いて十を悟り、世に所謂麒麟児にして」と必ず斯うあるところですが、尠くも十五の春の頃迄は寧ろ白痴に近かったようです。 それは十五の春の頃でしたが、或時....
赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
ばかり、妾はその時僅か五歳、乳母に抱かれて山手へ逃げ、そのまま乳母の実家で育ち、十五の春まで暮らしましたが乳母が病気で死にましてからは、日に日に悲しいことばかり....
豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
十五歳の春は来た。そして綾之助とはあまりに相違する悲しい恋をささげられた。彼女の十五の春を奪ったのは、彼女のためにかなり尽し入揚《いれあ》げた紳士である。紳士で....
三の酉」より 著者:久保田万太郎
――すしやのむすめでなくって、区会議員の娘か? ――その娘がどうでしょう、十五の春から四十台の今日が日まで、三十年、ずッと芸妓をして来てしまったんですもの....