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十字架
「十字架〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十字架の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
しかしそれには生死を問わず、他言《たごん》しない約束が必要です。あなたはその胸の
十字架《くるす》に懸けても、きっと約束を守りますか? いや、――失礼は赦《ゆる》....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
した時から、一命はあなたに奉って居ります。ですから、どんな難儀に遇《あ》っても、
十字架の御威光を輝かせるためには、一歩も怯《ひる》まずに進んで参りました。これは....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
こくたん》を刻んだ、一尺ばかりの立像である。のみならず頸《くび》のまわりへ懸けた
十字架形《じゅうじかがた》の瓔珞《ようらく》も、金と青貝とを象嵌《ぞうがん》した....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
《うまし》くまします童女さんた・まりあ様」が、自然と身ごもった事を信じている。「
十字架《くるす》に懸《かか》り死し給い、石の御棺《ぎょかん》に納められ給い、」大....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
った》ければ、主人の病もまた退き易い。現にカテキスタのフヮビアンなどはそのために
十字架《じゅうじか》を拝するようになった。この女をここへ遣《つか》わされたのもあ....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
からそれへこの札をつけてさ。――ほれ、ここに釘《くぎ》が打ってある。これはもとは
十字架《じゅうじか》の形をしていたんだな。」
僕等はもうその時には別荘らしい篠....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
「東方」にさえ、その足跡を止めている。大名と呼ばれた封建時代の貴族たちが、黄金の
十字架《くるす》を胸に懸けて、パアテル・ノステルを口にした日本を、――貴族の夫人....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
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この洞穴の内部。「さん・せばすちあん」がたった一人岩の壁の上に懸けた
十字架の前に祈っている。「さん・せばすちあん」は黒い法服を着た、四十に近い日本人....
「或る女」より 著者:有島武郎
どの角帯《かくおび》のようなものを絹糸で編みはじめた。藍《あい》の地《じ》に白で
十字架と日月とをあしらった模様だった。物事にふけりやすい葉子は身も魂も打ち込んで....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
は有らゆるものを犠牲に供し、救世主たるの義務の故に、凡ての迫害と窮乏とを甘受し、
十字架の死をさえ敢えて堪え忍んだ。だからお前達は基督の受難によって罪からあがなわ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
下腹部まで届いた。クララは苦悶の中に眼をあげてあたりを見た。まぶしい光に明滅して
十字架にかかった基督の姿が厳かに見やられた。クララは有頂天になった。全身はかつて....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
赤な夕日に映ずる彼の黒いからだと、まっすぐに開いた彼の両手とは、さながら巨大なる
十字架のように見えた。 ある日、いつものように夕日を追って行ったままで、ラザル....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
涜者と見做し、神を傷け、神の掟を破る大罪人であると罵った。かくて最後に、イエスを
十字架に送ったのである。 今日では何人も、イエスを神を涜す罪人とは考えない。彼....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
どこしをしてこそ神様のお心にもかなうのだ。昔キリストというおかたは人間のためには
十字架の上で身を殺してさえ喜んでいらっしたのではないか。もう私は泣かぬ。さあ早く....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
いをしながら、祈祷や読書に精進していた。僕等は火鉢に手をかざしながら、壁にかけた
十字架の下にいろいろのことを話し合った。なぜ僕の母は発狂したか? なぜ僕の父の事....