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「十徳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

十徳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
がまったく案外でした。 年はもう九十くらい、くりくり頭に剃髪《ていはつ》して、十徳を着て、まだ少し季節が早いのに、大きな火ばちへ火をかんかんとおこしながら、い....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
土子土呂之介に剣を学び、天真正伝神道流では万夫不当だということや、利休好みの茶の十徳に同じ色の宗匠頭巾、白の革足袋に福草履、こういう穏しい風采をして、富士の裾野....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
来の説明を一挙に覆《くつがえ》したのは、宗匠頭巾《そうしょうずきん》をかぶって、十徳《じっとく》を着た背の高い老人。やや離れたところに立っておりました。 「え、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、わからないなりに米友の足をおさえたのは、いまあがって来た別の一人――頭が丸くて十徳姿、お数寄屋坊主とも見られる――それはいつぞや、木曾の寝覚の床で、道庵と昔話....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
人品のよい老人は、頭に宗匠頭巾《そうしょうずきん》のようなものをいただき、身には十徳《じっとく》を着ていましたが、侍が一人ついて、村人らしいのを二人ばかり連れて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、この部屋にいる人が、みんなゾッとしました。 そこへ、白い羽二重を首に巻いて、十徳《じっとく》を着た、坊主頭の、かなりの年配な、品のよい人が不意に姿を現わし、....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
私は事々物々|総てに親愛を見出すのである。 ◇ オモチヤの十徳 一、トーイランドは自由平等の楽地|也。 一、各自互に平和なり。 一、縮小し....
失策記」より 著者:豊島与志雄
ば仕舞の一手も踊ろうという粋人だが、ふだんは茶の間の長火鉢の前でも膝をくずさず、十徳姿で短い白髯をなでている。子供もなく、金婚式にま近い老妻と二人きりで、若い時....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
がスッポリ頭巾を冠っているので顔を見ることは出来なかった。鉄無地の衣裳に利休茶の十徳、小刀を前半に帯び端然と膝に手を置いている。肉体枯れて骨立っていたがそれがか....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
て私の様子を窺っています。 私の心は今静かです。実に限りなく静かです。顕文紗の十徳に薄紫の法眼袴。切下髪にはたった今櫛の歯を入れたばかりです。平素と少しの変わ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
次郎吉はヒョイと振り返って見た。剃り立て頭に頭巾をかむり、無地の衣裳にお納戸色の十徳、色の白い鼻の高い、眼のギョロリとした凄味のある坊主、一見すると典医であるが....
南国太平記」より 著者:直木三十五
の一人が叫んだ。 「南玉《なんぎょく》、しっかり」 「頼むぜっ」 南玉は、麻の十徳を着て、扇を右手に握って 「今日は、若旦那」 と、小藤次に、挨拶をした。小....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
けは腰にしていた。 それに対したのが気軽そうな宗匠振。朽色の麻の衣服に、黒絽の十徳を、これも脱いで、矢張飛ばぬ様に瓢箪を重石に据えていた。 「宗匠は、なんでも....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
その見事な菊を並べた、ほとんど菊の中に彳んで、ほたりと笑いながら同じく一礼した、十徳を着そうな、隠居頭の柔和な老人が見えた。これが主人である。内儀は家つきの一人....
濫僧考」より 著者:喜田貞吉
く実見したものの話に、たとい僧侶ならずとも、医師・俳諧師・茶道などの、頭を丸めて十徳を着けた類のものが境内に入らんとするには、前以て懐中にチョン髷を用意し、髷付....