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「十能〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

十能の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旧主人」より 著者:島崎藤村
》けた窓から壁の外へ漏れる。私は鼻を啜《すす》りながら、焚落《たきおと》しの火を十能に取って炉へ運びましても、奥様は未だ御目覚が無い。熱湯《にえゆ》で雑巾を絞《....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
、獣の皮というのはこれだ、と滑稽た殿様になって件の熊の皮に着座に及ぶと、すぐに台十能へ火を入れて女中さんが上がって来て、惜し気もなく銅の大火鉢へ打ちまけたが、ま....
」より 著者:島崎藤村
光はションボリと家の内を照していた。台所の方では火が燃えた。やがてお倉は焚落しを十能に取って、長火鉢の方へ運んだ。そのうちにお延やお鶴も起きて来た。 小泉の家....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
れど、」と、いや、それどころか、瓜の奈良漬。「山家ですわね。」と胡桃の砂糖煮。台十能に火を持って来たのを、ここの火鉢と、もう一つ。……段の上り口の傍に、水屋のよ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
。お待遠でござりました。」 片手に蝋燭を、ちらちら、片手に少しばかり火を入れた十能を持って、婆さんが庫裏から出た。 「糸塚さんへ置いて行きます、あとで気をつけ....
旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
もへや女中も、おどりだしました。お客たちも、いっしょにおどりだしました。とうとう十能と火ばしまでが、組になっておどりだしました。でも、このひと組は、はじめひとは....
鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
。……母屋の庭は薬草園だ。……」 由井正雪は感心した。 正雪は一代の反抗児、十能六芸武芸十八番、天文地文人相家相、あらゆる知識に達していたので、曾て驚いたこ....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
、この様に思われたものですから、道場に掛けた看板も、 由井民部之助橘正雪張孔堂、十能六芸|伊尹両道、仰げば天文俯せば地理、武芸十八般何流に拘らず他流試合勝手たる....
光は影を」より 著者:岸田国士
いうことは、彼の平生の主張からもよくわかつていた。 やがて、百瀬秀人は、自分で十能にオキ火を入れて持つて来た。それをコタツにほうり込むと、 「さ、楽に……さ、....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
ではあった。才智があって大胆で、直言をして憚らない。そうして非常な風流人で、六芸十能に達していた。だから家斉とはうまがあった。で二人の関係は主従というよりも友達....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
きびしい。こんな一間でも、小さな爐が切ってあって、お神さんが釜の下の焚きおとしを十能に山ほど持ってきてくれたけれど、屋根の穴から通う風に冷やされて、さっぱり室は....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ばかり揺ぶって、うつむきざまにはらはらと落涙した。 ただ、ここに赫としたのは台十能の中である。 「二階へおいでな。」 「ええ、なに………」 「構いはしないよ。....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
た。 すぐに分った、店口を入る、茶の室と正面の階子壇の下に、炭火の赫と起った台十能を片手に、立っていたのがすなわち内儀で。……と見ると艶々したその櫛巻、古天井....
世間師」より 著者:小栗風葉
うな秋の朝だ。 私が階子の踏子に一足降りかけた時、ちょうど下から焚落しの入った十能を持って女が上ってきた。二十七八の色の青い小作りの中年増で、髪を櫛巻にしてい....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
に「古い浅草」を象徴するものだった。箪笥、長持、長火鉢のたぐいから笊、みそこし、十能、それこそすり鉢、すり粉木の末にいたる台所道具一切、それは「もちあそび」とは....