千丈[語句情報] » 千丈

「千丈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

千丈の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
にも思いもかけなかった死と向かい合って、ひたすらに恐れおののいている、その姿は、千丈の谷底に続く崕《がけ》のきわに両手だけでぶら下がった人が、そこの土がぼろぼろ....
牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
に触れると、こんなことは何でもなくなる。もし僕の願さえ叶うなら紅塵《こうじん》三千丈の都会に車夫となっていてもよろしい。 「宇宙は不思議だとか、人生は不思議だと....
さようなら」より 著者:田中英光
際、突然、荷物を棄てると、その絶壁から投身自殺した。数千年の風雨に刻まれた高さ三千丈もある大地壁。顔を覗かせただけでも、下から吹きあげる冷たい烈風、底に無表情に....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
造などは、これからどうなるのであろうか。二人の門下生は、急に目の前が陥没して、数千丈の谿谷ができたような気がした。 「さあそこで副主任バラ女史に命ずる。博士コハ....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
けられては人種《ひとだね》も尽きるであろう。こは是れ一期《いちご》の大事到来と、千丈の絶壁に足を爪立て、万仞《ばんじん》の深き淵に臨んだ思がしたろう。飛んでも無....
蓮花公主」より 著者:田中貢太郎
早く郡を遷し、以て国脈を存することを祈る。黄門の報称に拠るに、五月初六日より、一千丈の巨蟒来り、宮外に盤踞し、内外臣民を呑食する一万三千八百余口、過ぐる所の宮殿....
大江山」より 著者:楠山正雄
山のふもとに着きました。たまたまきこりに会えば道を聞き聞き、鬼の岩屋のあるという千丈ガ岳を一すじに目ざして、谷をわたり、峰を伝わって、奥へ奥へとたどって行きまし....
砂漠の情熱」より 著者:豊島与志雄
、彼等が、何等かの風向によって、一団となって動き出す時、それは非常な勢いとなる。千丈の堤も支えきれない大洪水の如き勢いを呈するだろう。そこにおのずからの情熱が醗....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
願だ。それにも拘らず葡萄糖の使用量は日毎に増加する一方だ。アア! 溜息をもらし、千丈の嗟嘆を放つ者こそは、先生その人であったのである。 私は戦争のはじまるころ....
わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
たゞ伊吹山は静寂な姿を横へ、敗残の身を山中にさまよふドン・アゴスチノ行長を思へば千丈の嗟嘆あるのみ、踏む足毎にはらからの白骨に当る思ひであつた。 「この草も、木....
母の上京」より 著者:坂口安吾
だしたよ」 さすがに夏川も腕を組んで(なに寒くて、腕を組まずにゐられないのだ)千丈の嘆息をもらしたものだ。昔から裸で道中はできないといふ。いくら焼跡の浮浪児で....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
とき悲壮なる文字をもって始まった。 この瓶もし千尋の海底に沈まずば、この瓶もし千丈の巖石に砕けずんば、この地球上にある何人かは、何時か世界の果に、一大秘密の横....
太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
りたる人民は、せめて最後までとの覚悟を以て、高山の頂きにと攀じ登った、海水は百丈千丈の大濤をたてて、万雷一時に落下するがごとく、叫喚の声は絶えず四方に起りつつあ....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
の室内の品物を見渡した時には、ルパンの怒気もやや和らいだ。そこには好事家の垂涎三千丈すべき数万金に値する家具家什ばかり。ルパンはしばし我れを忘れて恍惚とした。 ....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ドストエフスキーを読んで落雷に出会ったような心地のした私は更に二葉亭に接して千丈の飛瀑に打たれたような感があった。それまで実は小説その他のいわゆる軟文学をた....