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「千仞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

千仞の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
て、海面が、高くその骨組の丈夫な双の肩に懸った時、音に聞えた勘助井戸を左に、右に千仞の絶壁の、豆腐を削ったような谷に望んで、幹には浦の苫屋を透し、枝には白き渚を....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
の口添え右から左と。思う通りに手順を運んで。ドンと落せばドンデン返し。狙う相手は千仞奈落。生きて出られぬキチガイ地獄じゃ……スカラカ、チャカポコチャカポコチャカ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
すし、行燈はもとよりその立廻りで打倒れた。何か私どもは深い狭い谷底に居窘まって、千仞の崖の上に月が落ちたのを視めるようです。そう言えば、欅の枝に這いかかって、こ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
しにかかったが、追手が前後から迫ったので、ついに、その籠を我と我が手で切り落して千仞《せんじん》の谷、底知れずの白水の谷に落ちて死んだ――というような伝説。 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
はゆかない。 「ちぇッ」 幾度か舌打ちをして、もどかしがり、子獅子《こじし》が千仞《せんじん》の谷から、こけつ、まろびつ、這《は》い上るような勢いで、川下の、....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
のがまたいけない。こうヤキが廻ったからには、しょせん悪あがきをしてもそれは無駄。千仞の功を一簣《いっき》に欠いたが、明石《あかし》の浜の漁師の子が、五十万両の万....
日記」より 著者:宮本百合子
どい悲しみをぐっと堪え、蒼ざめ、而も容儀を崩さないで居るのを見たとき、自分の心も千仞《せんじん》の谷底にとび降りたような心持になった。良人が陸軍の大尉になろうと....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
方が上手かも知れない。蟠竜というのはこんなのだろう。これを見ると深山の断崖から、千仞の谷に蜿蜒としている老松を思い出すよ」と仰しゃるので、皆その大げさなのをおか....
ある自殺者の手記」より 著者:小酒井不木
どの方法を選ぶかということになると、もはや、日本刀の鞘を払う気にもなれなければ、千仞の谷に近よることもいやになった。共に苦痛を伴うからである。だから、僕は苦しま....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
いて天套でもなければ宿れそうもない、たまたま霧の間から横尾谷の大雪渓と、岳川谷の千仞の底より南方に尾を走らしているのが、瞬間的に光るのを見た。 やがて、米人フ....
旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
くれば秋に枯れたる婆様の挨拶《あいさつ》何となくものさびて面白く覚ゆ。見あぐれば千仞《せんじん》の谷間より木を負うて下り来る樵夫二人三人のそりのそりとものも得言....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
あります。この時に当ってもし旅人があるならば、その雪のために忽ち捲き込まれて幾|千仞の幽谷に葬られてしまうということは珍しからぬことであります。 当り外に出でて....
西航日録」より 著者:井上円了
し、三時入港す。港内にありて砲台を望むに、金城鉄壁もただならざるなり。 山勢屹然千仞余、砲門高構圧坤輿、金城鉄壁独難比、恐是当初帝釈居。 (山の形はけわしくそび....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
暖潮を受くるためなり。歩して市外に至れば、諸山みな赤壁のごとく岩石を露出し、断崖千仞なるあり。その間に残雪堆をなすも、山麓には青草※々として茂り、ようやく春に入....