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千代紙
「千代紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
千代紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
なると、どの紙屑の渦の中にも、きっと赤い紙屑が一つある――活動写真の広告だとか、
千代紙の切れ端だとか、乃至《ないし》はまた燐寸《まっち》の商標だとか、物はいろい....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
米糖の壷一つも、馬で抱き、駕籠で抱えて、長い旅路を江戸から持って行ったと思えば、
千代紙の小箱に入った南京砂も、雛の前では紅玉である、緑珠である、皆敷妙の玉である....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ついと起って、剪刀を袖の下へ秘して来て、四辺を※して、ずぶりと入れると、昔取った
千代紙なり、めっきり裁縫は上達なり、見事な手際でチョキチョキチョキ。 母様は病....
「妖術」より 著者:泉鏡花
傘ながら細りした背を見せて、そこの絵草紙屋の店を覗めた。けばけばしく彩った種々の
千代紙が、染むがごとく雨に縺れて、中でも紅が来て、女の瞼をほんのりとさせたのであ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
うだと形容しても、どうも不十分のように思われる。解り易く云えば、子供のもてあそぶ
千代紙の何百枚を細かく引き裂いて、四方八方へ一度に吹き散らしたという形であった。....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
んか。 ですから、病院へ入ったあとで、針箱の抽斗にも、畳紙の中にも、皺になった
千代紙一枚もなく……油染みた手柄|一掛もなかったんですって。綺麗にしておいたんだ....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
もたくさんの間があり、彼女の部屋は、ほたるの絵の壁紙であった。小さなこけし人形や
千代紙や、封筒や便箋を蒐集することが好きであった彼女は、それを少しずつ私にわけて....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
年だったと思う。私は初めて盗みをし、その良心の苦しみを知った。 政子姉の綺麗な
千代紙が欲しくてたまらず、そっと盗んで自分の箱に入れて置いた。 政子姉が探し出....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
池の岩の上にいつも亀が甲を干していました。お堂の中には、小指の先ほどの括り猿や、
千代紙で折った、これも小さな折鶴を繋いだのが、幾つともなく天井から下っています。....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
を覗いた明い綺麗な色がある。外の春日が、麗かに垣の破目へ映って、娘が覗くように、
千代紙で招くのは、菜の花に交る紫雲英である。…… 少年の瞼は颯と血を潮した。 ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
この店にも一枚絵、二枚続き、または三枚続きの錦絵を始めとして、子供のおもちゃ絵や
千代紙のたぐいが店一ぱいに懸けられてあった。おもちゃ絵や
千代紙は一枚八厘か一銭で....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
もまた、村の仲間の秀治と友一との三人連れだつた。子供のオモチヤや、小娘たちの喜ぶ
千代紙やブローチや手提などを、まばゆくきらびやかに照らし出す夜店のアセチレン灯の....
「千代紙の春」より 著者:小川未明
あさんが、こいの代金を払ってくれるとにこにこしました。そして、ふところから美しい
千代紙を出しました。 「おばあさん、この
千代紙は、私が孫に土産に持っていってやろ....
「銀河の下の町」より 著者:小川未明
え。」と、博士は、信吉に、堅い握手をしました。 家に帰ると、妹のみつ子は一人で
千代紙を出して遊んでいました。 「兄さん、どこへいってきたの?」 「いま、僕、学....
「古いはさみ」より 著者:小川未明
たけれど、年とったはさみは、若いころ、お嬢さんが人形の着物をつくるときに、美しい
千代紙や、折り紙を切ったり、また、お母さんが、お仕事をなさるときに使われた、いく....