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「千秋楽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

千秋楽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
わず慄然としたそうですが、興行中は別に変ったことも無くて、大入りのうちにめでたく千秋楽になりました。兎欠脣の定吉という奴も、そのあくる年の正月にやっぱり酒の上で....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
分別顔してお礼を言い、それでは、と古綿を頸に巻きつけた風邪気味が、胸を、そらして千秋楽をうたい出し、主客共に膝を軽くたたいて手拍子をとり、うたい終って、立つ鳥あ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
又どこやらでヒソヒソ話が始まって、それが彼方此方へと移ってゆく。 それよりして千秋楽までは代稽古するほどの腕前揃い、ツイその撥に咽喉に魅せられて帰るさは酔った....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が回向院の墓地へお墓参りに来た日、その境内《けいだい》の西洋奇術大一座がちょうど千秋楽の日でありました。 この興行は、大入り満員の売切れつづきで、すばらしい人....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
いいのよ、あとみんな勝って下されば、二日目も負け、いいわ、あと勝って下されば、で千秋楽まで、楽の日は私もとうとうふきだして、いいわ、楽に初日をだしてよ、きっと約....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
謎なのであった。 そこは、上州藤岡の劇場で、乗り込みを両三日中に控え、ちょうど千秋楽の日であったが、儀右衛門はひさかたぶりに、法水の来訪をうけた。 舞台裏に....
かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
江が見て下されと紐鎖へ打たせた山村の定紋負けてはいぬとお霜が櫛へ蒔絵した日をもう千秋楽と俊雄は幕を切り元木の冬吉へ再び焼けついた腐れ縁燃え盛る噂に雪江お霜は顔見....
酒渇記」より 著者:佐藤垢石
門、九日の菊兵衛この者共の参会、元日より大年まで酔の覚めたる時もなく、いつとても千秋楽は酒のみかかる時うたうて仕舞、兎角正気のあるうちは、身を酒瓶の底にしづめ、....
天衣無縫」より 著者:織田作之助
るとのことで、約束の時間に四ツ橋の文楽座の前へ出掛けたところ、文楽はもう三日前に千秋楽で、小屋が閉っていた。ひとけのない小屋の前でしょんぼり佇んで、あの人の来る....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
存外長いものになり、事件が段々発展ただ今百〇九枚の所です。もう山を二つ三つかけば千秋楽になります。「趣味の遺伝」で時間がなくて急ぎすぎたから今度はゆるゆるやる積....
ある恋の話」より 著者:菊池寛
の姿だと思うと、更に懐しさが胸に一杯になるのでした。 ところが、この狂言が段々千秋楽に近づく頃でした。染之助の舞台姿に別れる私の悲しさが、段々私の小さい胸に、....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
と、より沢山の群衆が、流れ始めていた。 春狂言の期日が尽きると、万太夫座は直ぐ千秋楽になったにも拘らず、半左衛門座は尚打ち続けた。二月に入っても、客足は少しも....
子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
ん。六三郎はとうとう舞台へ出ることが出来ませんでした。それから二日で、この芝居も千秋楽になりましたが、六三郎はまだ床を離れることが出来ないで、からだは日ましに衰....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
あるらしく思われた。わたしは一度見物しただけであるから能く知らないが、この盛綱は千秋楽の日まで満足には演了されないで、いつも中途で打出しになったという噂であった....
夏の町」より 著者:永井荷風
さえ早や萎《しお》れてしまった。梅雨《つゆ》が過ぎて盆芝居《ぼんしばい》の興行も千秋楽《せんしゅうらく》に近づくと誰も彼も避暑に行く。郷里へ帰る。そして炎暑の明....