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午下
「午下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
午下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
うにはずれた藪だたみのところに、見るから風体《ふうてい》の汚ないいち人の非人が、
午下《ひるさが》りの陽光を浴びて、うつらうつらとその時迄居眠りをつづけていました....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ずこへともなく飄然《ひょうぜん》と姿を消したわが退屈男は、それから丁度十八日目の
午下《ひるさが》り、霞に乗って来た男のように、ふんわりと西国《さいごく》、京の町....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
通りではないようにみえた。 もう一つの面白い事実は、ふみ子の死んだという日のお
午下りに、岡安巳太郎が、ヒョックリとカフェの扉をおして入ってきたことだ。警視庁で....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
ていたのだ。 四 「おい、美代公。元気を出せよ」 翌る日の
午下り。夜でさえまともには見られない疲れ切ったその酒場へ、のっそりとやって来た丸....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
ました。火をつけましょう。(行灯に火をつける) 親鸞 唯円はどうした。 小僧 お
午下がりに用たしに行って来ると言って出られました。もうお帰りになりましょう。晩の....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
れをしていた鉢植えの菊《きく》が澄明《ちょうみょう》な大気に香《かお》っている。
午下《ひるさが》りの広い家には、海の底のようなもの憂《う》いしずかさが冷たくよど....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
。
麻布林念寺前、伊賀藩柳生対馬守のお上屋敷。
その奥庭の離室《はなれ》だ。
午下《ひるさが》りのうららかな陽が、しめきった障子に木のかげをまばらにうつして、....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
ばならぬのだ―― 彼は歯のすっかりすり減った日和を履いて、終点で電車を下りて、
午下りの暑い盛りをだら/\汗を流しながら、Kの下宿の前庭の高い松の樹を見あげるよ....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
などという、そうした気配は、薬にしたくも見られなかった。 しとしとと雨の降る、
午下りだった。歌麿はいつものように机にもたれて茫然と、一坪の庭の紫陽花に注ぐ、雨....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
唱えながら馬に揺られたお銀の姿が、栄太と共に江戸町を引き廻された埃りっぽい日の正
午下《ひるさが》り、八丁堀の合点長屋へ切れようとする角の海老床で、釘抜藤吉は勘次....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
。当家《こちら》は生薬の近江屋でござい――。」 「ささ、その近江屋さんから今日の
午下りに大番頭の元七さんが見えて――。」 「元七と言えば手前でございますが、お店....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
ら心張《しんばり》がかかっている様子がまんざら無人とは思われない。朝ならともかく
午下りも老いたころ、ついぞないことなばかりか、用意洩れなく準《ととの》えて待ち受....
「白い道」より 著者:徳永直
ポクリと、足くびまでうずめる砂ほこりが、尻ばしょりしている毛ずねまで染める。暑い
午下りの熱気で、ドキン、ドキンと耳鳴りしている自分を意識しながら歩いている。その....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
あるので明るい。千手ヶ原の湖水に接したあたりは、葭やら薄やら禾本科植物の穂先が、
午下の太陽から迸射する強い光芒に照されて、銀の乱れ髪のように微風にゆらめいている....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
思議の世界でも覗くように脊伸びして、魚津の海を瞰下ろしている。早乙女岳から右は、
午下の太陽に照された幾重の雲の峰が一様に平かな底を見せて、果てもなく続く。目立っ....