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午砲
「午砲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
午砲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
一
午砲《どん》を打つと同時に、ほとんど人影の見えなくなった大学の図書館《としょかん....
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
胆力《たんりょく》が欠けている。先生と大きな声をされると、腹の減った時に丸の内で
午砲《どん》を聞いたような気がする。最初の一時間は何だかいい加減にやってしまった....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
待つと、等しく一様の大律《たいりつ》に支配せらる。白日天に中《ちゅう》して万戸に
午砲の飯《いい》を炊《かし》ぐとき、蹠下《しょか》の民は褥裏《じょくり》に夜半《....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
しなかった。三四郎はそれが当然だと考えた。けれどもやはりしゃがんでいた。すると、
午砲《どん》が鳴ったんで驚いて下宿へ帰った。 翌日は正八時に学校へ行った。正門....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
候所へ行って案内を頼むと水兵が望遠鏡をわきの下へはさんで出て来ていろいろな器械や
午砲の装薬まで見せてくれる、一シリングやったら握手をした。…… 夕飯後に甲板へ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
夜の若い者の歌。子供の喜ぶ飴屋の笛。降るかと思うと忽ち止む時雨のさゝやき。東京の
午砲につゞいて横浜の
午砲。湿った日の電車汽車の響。稀に聞く工場の汽笛。夜は北から....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
失策《しくじ》ッた」 千悔、万悔、臍《ほぞ》を噬《か》んでいる胸元を貫くような
午砲《ごほう》の響《ひびき》。それと同時に「御膳《ごぜん》で御座いますよ」。けれ....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
て来る。顔を洗って、御飯を喰べて、其から長いこと掛って髪を結う。結い了う頃は最う
午砲《ドン》だけれど、お昼はお腹《なか》が満《くち》くて食べられない。「私《あた....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
なんですから、帰途によろよろ目が眩んで、ちょうど、一つ橋を出ようとした時でした。
午砲!――あの音で腰を抜いたんです。土を引掻いて起上がる始末で、人間もこうなると....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ったよ。」 「直ぐにも頼む、もう、あの娘は俺の命だから、あの娘なしには半日も――
午砲! までも生きられない。ううむ。」 うむと唸って、徳利を枕にごろんとなると....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ひは木槿の垣の裏表 夜をこめて柿のそら価や本門寺 冬の部 凩の吹きあるゝ中の
午砲かな 折りくべて霜湧き出づる生木かな 初霜をいたゞきつれて黒木売 もてあます....
「浅草紙」より 著者:寺田寅彦
ラスキンをほうり出して、浅草紙をまた膝の上へ置いたまま、うとうとしていた私の耳へ
午砲の音が響いて来た。私は飯を食うためにこのような空想を中止しなければならないの....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
らを実行することが出来るであろう。――但し、わたしの休養とは、英国の伝令兵の声や
午砲の音によって破られないところの永遠の安息であり、わたしの転地というのは、どの....
「魔都」より 著者:久生十蘭
は推して知るべし。貌《かおかたち》に至ってはこれといって書き立てるがものはない。
午砲《ひるめし》時に仲之通に汗牛充棟するサラリーマン面の一種で、馬鹿には見えぬ代....
「飯待つ間」より 著者:正岡子規
余は昔から朝飯を喰わぬ事にきめて居る故《ゆえ》病人ながらも腹がへって昼飯を待ちかねるのは毎日の事である。今日ははや
午砲が鳴ったのにまだ飯が出来ぬ。枕もとには本も硯《すずり》も何も出て居らぬ。新聞....