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半ば
「半ば〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半ばの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
鋭い眼光をあげて、じっと秋をまたたいている燈火《ともしび》の光を見た。そうして、
半ば独り言のように、徐《おもむろ》にこう答えた。
「だから、英雄の器だったのさ。」....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
早くも気がついたと見えて、今まで袴《はかま》の膝の上に伏せていた視線をあげると、
半ば歎願するように、怯《お》ず怯《お》ず私の顔色《かおいろ》を窺いながら、前より....
「影」より 著者:芥川竜之介
ように、しばらくは黙然《もくねん》と坐っていた。が、やがて置き時計の針を見ると、
半ば機械的にベルの鈕《ボタン》を押した。
書記の今西はその響《ひびき》に応じて....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
にがおえ》の前に立った時は、ほとんど久闊《きゅうかつ》を叙《じょ》したいくらい、
半ば気味の悪い懐しささえ感じました。どうです。御嫌《おいや》でなかったら、その友....
「河童」より 著者:芥川竜之介
《ようす》にこういう気もちを感じたとみえ、僕らに椅子《いす》を薦《すす》める前に
半ば気の毒そうに説明しました。
「どうか我々の宗教の生活教であることを忘れずにく....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
なのだ。」
「なるほど、ありふれた才子の情事ではない。」
趙生《ちょうせい》は
半ば憐《あわれ》むように、王生《おうせい》の顔へ眼をやった。
「それでは君はそれ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、楽《らく》なもんだが、――」
彼は牛荘《ニューチャン》の激戦の画を見ながら、
半ば近所へも聞かせるように、こうお蓮へ話しかけた。が、彼女は不相変《あいかわらず....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
供《とも》を致します。けれどもそれは――それは」
おすみは涙を呑みこんでから、
半ば叫ぶように言葉を投げた。
「けれどもそれははらいそへ参りたいからではございま....
「女」より 著者:芥川竜之介
莟と枝との間に休みない往来を続けだした。と同時にまっ白な、光沢のある無数の糸が、
半ばその素枯《すが》れた莟をからんで、だんだん枝の先へまつわり出した。
しばら....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
ほんだて》の郵便局の前には若楓《わかかえで》が枝を伸《の》ばしています。その枝に
半ば遮《さえぎ》られた、埃《ほこり》だらけの硝子《ガラス》窓の中にはずんぐりした....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
うつるともしびの光さえ黄色く靄《もや》の中に浮んでいる。上げ潮につれて灰色の帆を
半ば張った伝馬船《てんまぶね》が一|艘《そう》、二艘とまれに川を上って来るが、ど....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
南枕《みなみまくら》にせらるべく候か。」
「お母さんはどっち枕だえ?」
叔母は
半ばたしなめるように、老眼鏡の眼を洋一へ挙げた。
「東枕《ひがしまくら》でしょう....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
こしの匂い、煎豆の音、氷屋の呼声かえッて熱さを加え、立売の西瓜日を視るの想あり。
半ば渡りて立止り、欄干に倚りて眺むれば、両岸の家々の火、水に映じて涼しさを加え、....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ニが鋼鉄の針に太陽の光をあてて磁石にするという、あやしい実験をも附した。 五月
半ばには再度ベスビアスに登ったが、二度目の時は丁度噴火のあった際であり、それに噴....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
そこは心地よいまどろみの国。 夢は
半ばとじた眼の前にゆれ、 きらめく楼閣は流れる雲間にうかび、 雲はたえず夏空に照....