半天[語句情報] » 半天

「半天〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

半天の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ょうじ》に映るランプの光が、物静かな薄暗をつくっていた。婆さんはその薄暗の中に、半天《はんてん》の腰を屈《かが》めながら、ちょうど今何か白い獣《けもの》を抱《だ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
まど》がある、――その窓から外を見ると、向うの玩具問屋《おもちゃどんや》の前に、半天着《はんてんぎ》の男が自転車のタイアへ、ポンプの空気を押しこんでいた。何だか....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
の中に書こうとした人物だ。一時は私もこうした文体を好んで書いたものだ。 「筒袖の半天に、股引、草鞋穿で、頬冠りした農夫は、幾群か夫婦の側を通る。鍬を肩に掛けた男....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
柄で、そんな縁故から江戸行きの若者らの素通りを許さなかった。 名主文太夫は、野半天、割羽織に、捕繩で、御領私領の入れ交った十一か村の秣場を取り締まっているよう....
「家」より 著者:島崎藤村
とを思わせる。 隣の叔母さんは裏庭にある大きな柿の樹の下へ莚を敷いて、ネンネコ半天を着た老婆さんと一緒に大根を乾す用意をしていた。未だ洗わずにある大根は山のよ....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
岳の一角を現わした、さすがに富士山のみは、深くまつわる山を踏み踰えて、ひとり高く半天に立っている。 石の急壁を登りかけていると、雷鳥が一羽、ちょこちょこと前を....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
は、大屏風を霧の中にたたんだり、ひろげたりして、右へ右へと大身の槍の槍ヶ岳まで、半天の空を黒く截ち切っている、三木槍の頭は、尖った岩石の集合体で、両側が殺いだよ....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
っすぐな谷が、梓川が糸のように見える上高地の平原まで続く。すぐ右手に頭を圧して、半天をさえぎって、花崗岩の大岩塊が、白い屏風を押し立てたように立っている。下の平....
「連環記」より 著者:幸田露伴
して、自分の豪傑性を否認して終って、三河守も何もあらばこそ、衣袍取繕う遑も無く、半天の落葉ただ風に飛ぶが如く国府を後にして都へ出てしまった。 勿論官職位階は皆....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
すぐにその寝台をあらためると、それは奉公人などの住む屋根裏の部屋には珍らしくない半天蓋の寝台であった。 寝台のそばに立っている抽斗戸棚の上には絹の古いハンカチ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
夢のような気持ちになる。 霧が雨になり、雨が霧になり、雨と霧が交互にたわむれて半天にかけまわれば、その下におどる白泡の狂瀾がしだいしだいに青みにかえって、船は....
「ハイカラ考」より 著者:木村荘八
の中にこの髭翁だけが「短カキ胴〆ノ附タル服ヲ着シ」とあって「早ク申サバ日本の股引半天ノ拵ヘユヱ、連座ノ西洋人ハ勿論、日本人モ扨々失礼ヲ知ラヌぢぢい哉ト横目ニテじ....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
夜の月出ず。火炎高く昇れるが、火炎の中に数十条の赤線直上し、その末火花となりて、半天に四散し、下界の煙火などには見られざる壮観を呈するに、酒ますます味を加う。天....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
れておりますればこれで恰好でござりまする、と意久地なく落ちかかる水涕を洲の立った半天の袖で拭きながらはるか下って入口近きところに蹲まり、何やら云い出したそうな素....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
けでやってくれるから、嬉しいね。ア、餌入れ、日に当てない様にして下さい。』 船『半天かけておきましたから、大丈夫です』 漁『それなら好いが……。今日は、袋持って....