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半巾
「半巾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半巾の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「癩」より 著者:島木健作
然《がくぜん》とした面持でじっとそれに見入っていたが、やがてあわててポケットから
半巾《ハンケチ》を出して口をおおい、無言のまま戸を閉じ急ぎ足に立ち去った。 や....
「うつり香」より 著者:近松秋江
「ああ拭くもの?……これでお拭きなさい」 お宮は女持ちの小さい、唐草を刺繍した
半巾を投げやった。 柳沢はそれで掌先を拭いて、それから茶を飲んだ後の口を拭いた....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
被り、男が二人のぬいだ日和下駄を風呂敷包にして腰につけ、小婢にみやげの折詰|二箇
半巾に包んで片手にぶら下げて、尻高々とからげれば、妻は一張羅の夏帯を濡らすまいと....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
勘定し初めた。 憲作はサックに入れた指環を一度あらためて、サックの上から新しい
半巾で包んで恭しく徳市に渡した。 徳市は夢のように受け取った。そのままポケット....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
それからも小一時間ばかり弥撒は続いていた。その終りかける頃、その婦人がふいと
半巾《ハンカチ》を取りだして顔にあてがったのを私は認めた。しかしそれは何んのため....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ったり、薄紫ちりめんだったりした。黒ちりめんに加賀紋の羽織を着て、風呂敷ほどの絹
半巾《きぬはんけち》を鼻からまいて、車からおりると、 「おッしょさん――」 て鼻....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
「ありがと、次郎ちゃん。では、いいものをあげましょうね、お坐り。」 春子は、
半巾で口のまわりの汗を拭き拭き、部屋の真ん中にぺったり坐った。 「なあに、姉ちゃ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
かくれ去る。) お沢 (箒を堂の縁下に差置き、御手洗にて水を掬い、鬢掻撫で、清き
半巾を袂にし、階段の下に、少時ぬかずき拝む。静寂。きりきりきり、はたり。何処とも....
「楢ノ木大学士の野宿」より 著者:宮沢賢治
風を引くと腹が痛くなる。それがつまり風化だな。」 大学士は眼鏡《めがね》をはずし
半巾《はんけち》で拭《ふ》いて呟《つぶ》やく。 「プラジョさん。お早くどうか願い....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
ている小さな子供だ! 彼は子供をしっかと上衣に包んで、ひしと抱きしめながら、絹
半巾を丸めて早速の猿轡とし三階へ駈け上った。 『ホラ、御覧よ』と驚いて跳ね起きた....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
だ、彼女は莨を喫ないぜ、この燃殻の紙は脅迫状の紙と同質なんだ、机の下から発見した
半巾ね、あれには手紙を包んであった皺が瞭然残って、しかもナフタリンの匂が沁みこん....
「旗岡巡査」より 著者:吉川英治
なげに散歩し出す時は足の痺れを思い出した時であろう。 ――と。 まるで一枚の
半巾でも飛んで来るように、白い前掛をした女が彼方から走って来た。ちょうど海から霧....