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「半死〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

半死の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手紙」より 著者:芥川竜之介
」 それは実際何でもない。ただ乾いた山砂の上に細《こま》かい蟻《あり》が何匹も半死半生《はんしはんしょう》の赤蜂《あかはち》を引きずって行こうとしていたのです....
或る女」より 著者:有島武郎
にひたった。しかしその酔いがさめたあとの苦痛は、精神の疲弊と一緒に働いて、葉子を半死半生の堺《さかい》に打ちのめした。葉子は自分の妄想《もうそう》に嘔吐《おうと....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
濤の中を、互いにしっかりしがみ合った二|艘の船は、半分がた水の中をくぐりながら、半死のありさまで進んで行った。 君は始めて気がついたように年老いた君の父上のほ....
海底大陸」より 著者:海野十三
中、きゅうに気持がわるくなって、自室にひきとったんだ。そして急激な嘔吐に下痢だ。半死半生のていでベッドにもぐりこんでいたが、それから後、元気をとりかえして、いま....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
く様にマルクスだとかレーニンだとか談論風発を続け、はては刻下の文壇をプチブル的、半死蛇等と罵り立てる。十時近い頃青年は病的なりに生々した顔付きで兄の家へ帰って行....
東京要塞」より 著者:海野十三
躍らせてどぼーんと堀のなかに飛びこんだ。 「おーい、しっかりしろ」 彼は片手に半死半生の酔漢を抱えあげた。そしてすっかり救命者になって、酔漢を助けながら、のそ....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
な決心でしょう。杜子春は老人の戒めも忘れて、転ぶようにその側へ走りよると、両手に半死の馬の頸を抱いて、はらはらと涙を落しながら、「お母さん」と一声を叫びました。....
麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
ことです。たといひと息に死に切らないものでも、その恐ろしい力で胸を押されて、もう半死半生になった上に、かつて見たこともないような怪物が自分の上にのし掛かっている....
」より 著者:岡本綺堂
泳ぎ着いて、百本|杭の浅い所でぐたりと坐ってしまった。小雛は牛の角を掴んだままで半死半生だ。そこへ旦那の船が漕ぎ着けて、すぐに小雛を引揚げて介抱する。櫛や笄はみ....
取舵」より 著者:泉鏡花
与に船暈を発して、かつ嘔き、かつ呻き、正体無く領伏したる髪の乱に汚穢を塗らして、半死半生の間に苦悶せり。片隅なる盲翁は、毫も悩める気色はあらざれども、話相手もあ....
」より 著者:岡本かの子
う猶予して居られなかった。勢いを倍加して一散に当所もなく走り出した。 真夜中、半死人のようにぐったりと疲れた京子が、中年の巡査に抱えられて戻って来た。加奈子は....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
ように、親父の中風、死に続いて、おふくろが気がおかしくなって前の谷川の淵に落ちて半死のまま引き上げられたり、次には女房が四番目の子を産んで以来、まるで青瓢箪のよ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
眇目の男のゆくえを探して、堂のうしろへ駈けて行った。残りの者は采女を打ち捨てて、半死半生の権右衛門と新九郎とを介抱している。その隙きを見すまして、小坂部は再び懐....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
るは、これが始じめて也。珍らしと見入りて、憐れに思いぬ。この蛇|活きてはおるが、半死までの様子となりて、その身もいたく痩せたり。思うに薬研の壑中に陥りて、出るに....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
ゃくしゃと腹が立って、運転手に渡した五円紙幣までが忌々しくなった。――だが、あの半死の少女を浚って行く泥棒もあるまいじゃないか。これは普通の泥棒ではない、きっと....