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「半泣き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

半泣きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
を停めて、話し掛けていた。 写真を撮らせてくれと頼んでいるらしい。女は困って、半泣きの顔で、ノーノーと手を振っている。 コバルト色の無地のワンピースが清楚に....
競馬」より 著者:織田作之助
えられて迷いに迷い、挽馬場《ひきば》と馬券の売場の間をうろうろ行ったり来たりして半泣きになったあげく、血走った眼を閉じて鉛筆の先で出馬表を突《つ》くと、七番に当....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
それが、子供めいても、また色っぽく見えた。 「一時間も待ってたんやわ」と紀代子は半泣きのまま、寄り添うて来た。 並んで歩いた。夜がするすると落ちて、瓦斯燈の蒼....
世相」より 著者:織田作之助
その言葉はさすがに皆まで聴かず、私はいきなり静子の胸を突き飛ばしたが、すぐまた半泣きの昂奮した顔で抱き緊め、そして厠に立った時、私はひきつったような自分の顔を....
蠅男」より 著者:海野十三
叫んだ。 「この道なら、有馬へ出ますわ。お店と反対の方角やがナ」 店員先生が、半泣きの声で答えた。 「うむ、有馬温泉へ出るのか。――あと何里ぐらいあるかネ」 ....
海底大陸」より 著者:海野十三
事務長は棒立ちになってさけんだ。 「それは、こういうわけなんだ」 と、シリンが半泣きの声で説明するところによると、機関部では、どういうわけかわからぬが、皆がト....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
門口に彼の帰ってきた気配がすると、子供のように小屋の中から飛んで出て来た。そして半泣きの顔にニッと悦びの笑みを浮べ、そしてその後で決ったように大きな溜息をつくの....
転機」より 著者:伊藤野枝
凍ってしまうかとばかりに縮み上がって、後にも先にも動く気力もなくなって、私はもう半泣きになりながら、山岡に励まされて僅かの処を長いことかかってようように水のない....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
んか。え、なに? あなたも探しておられるんですか。困りましたなア」 終りの方は半泣きの声だった。――私は改造社へ行った。改造の編輯者は大日本印刷へ出張校正に行....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
に聴いていたが、しかし直ぐシクシクと泣きだした。赤井の声も次第に涙を帯びて来て、半泣きの声になり、もうあとが続かなかった。そんな心の底に、生死もわからぬ妻子のこ....
郷愁」より 著者:織田作之助
んですか」 「いいえ、荒神口で待っているように電報が来たんですけど……」 女は半泣きの顔で、ふところから電報を出して見せた。 「コウジ ング チヘスグ コイ。....
道なき道」より 著者:織田作之助
らなかった。露店の前にも立ち止らなかった。寿子は父の大股の足について行きながら、半泣きになっていた。冷やし飴一杯も飲まずに、家へ帰ると庄之助は昂奮した声で、怒鳴....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
れには驚いた。 「でも、確かに拙者は落胤で、証拠の脇差も持参の事故」 金三郎は半泣きになって愚痴を口走った。 「駄目だよ。トテモ駄目だよ。池田家に取ってその落....
秋深き」より 著者:織田作之助
くすると、女の泣き声がきこえた。男はぶつぶつした声でなだめていた。しまいには男も半泣きの声になった。女はヒステリックになにごとか叫んでいた。 夕闇が私の部屋に....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ある事務所の壁だ。私はしり込みしたが、親分は『書かないのなら出ていけ!』である。半泣きだった。『南無三宝』私はどうにでもなれと腹をきめ目もくらむ木組みに登って、....