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半眼
「半眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
だろう。主君の御前ということもつい失念してしまったと見え、その二重瞼の美しい目を
半眼に閉じながら、うつらうつらと仮睡に落ちようとしている。 じっと、その面を見....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ぶ承知の旨を肯いて見せた。すると堺屋の妻はまだ本当には安心し切らないような様子で
半眼を開いて、じっと母と僕と娘の顔を見較べながらやがて死んだ。木下の母親は堺屋の....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
何もかも、お聴きのとおりですから」
「ようく判りました」とクリヴォフ夫人は鷹揚に
半眼で頷き、気取った身振をして答えた。「ですけど旗太郎さん、仮りにもし私の方が先....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
っていた。 この情ない目を見てからのおれの失望落胆と云ったらお話にならぬ。眼を
半眼に閉じて死んだようになっておった。風は始終|向が変って、或は清新な空気を吹付....
「不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
上がった。銃口がぴたりと左の肩にあたる。それから左の肩がじりじりと廻転してゆく。
半眼を開いて、照準をじっと覘う。狙いの定まったままに、なおもじりじりと左へ廻転し....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
者を呼ぶなぞは、のう、お互に以後謹もう……」と火箸に手を置く。 所在なさそうに
半眼で、正面に臨風榜可小楼を仰ぎながら、程を忘れた巻莨、この時、口許へ火を吸って....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
ここへ運べば楽なものじゃ――我は化けたと思えども、人はいかに見るやらん。」 と
半眼に、従容として口誦して、 「あれ、あの意気が大事じゃよ。」 と、頭を垂れて....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
を愛して居ずにいられないこの種の巴里女をしみ/″\と感じられるのだった。 眼を
半眼、開いたまゝ鉛の板のように重苦しく眠り込んでいた新吉は伊太利の牧歌の声で目覚....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
お待ちなさい、愛着の念が起って、花の唇を……ふん、」 と仰向いて目を瞑ったが、
半眼になって、傾きざまに膝を密と打ち、 「津々として玉としたたる甘露の液と思うの....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
うな乳房である。 「さあご返辞をなさりませ」 こういうと島子は眼を閉じた。いや
半眼に閉じたのである。と大きな眼が急に細まり、下のまぶたへ濃いかげが出来た。睫毛....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
を定めましたか……」 「うむ」と云うと中納言家には、眉の辺りに憂色を浮かべ、眼を
半眼にして考え込まれた。 腰元の死 「頼母」 ややあって中納言家は口を開....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
。腰の下はすぐになだれたけれども、辷り落ちても埋れはせぬ。 しばらくして、その
半眼に閉じた目は、斜めに鳴鶴ヶ|岬まで線を引いて、その半ばと思う点へ、ひらひらと....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
うとは、夢にも思い及ばなかったのじゃ」と、こう云いながら、藤十郎はその大きい眼を
半眼に閉じながら、美しかった青春の夢を、うっとりと追うているような眼付をするので....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ながら意識をとろりとさせていると、地響きのようなものが聞えて来た。慧鶴はうっすり
半眼を開いてみると黒い塊が列になって富士の方角から寺の前の畑の中を通って沼津の方....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
ものがないので、賀川市長とその霊が二人で夜とぎをすることになった。 死人の目が
半眼に開いている。そこから死んだ娘の魂が覗いている。 お爺さんが半泣きになって....